高島氏は、ライトニングフローの導入実績として長谷工コーポレーションの活用事例を紹介。長谷工コーポレーションは、2020年よりBIMを活用して実施設計での100%体制を確立。品質・生産性の向上や意思決定の迅速化を目的に、マンションに特化した“長谷工版BIM”を中核に据え、マンションの計画、設計、施工、販売、管理、大規模修繕、リフォーム、リノベーションのライフサイクル全体でのフルBIM化を進めている。
そうした取り組みの中でライトニングフローは、長谷工版BIMで作成したBIMモデルを表示して、昼夜の光を再現した写実的な3次元のビジュアライゼーションを制作。誰にでもイメージがつかみやすいだけでなく、明るさの数値も把握できる点が好評を得ている。
「これまで照度を確認するには、廊下や駐車場といったマンションの部位単位で照度分布図を作成し、3次元表現が必要であれば別のソフトでモデリングしなければならず、手間と時間に悩まされていたそうだ。ライトニングフローでは、その工程をボタン1つで可能にし、従来の部位ごとでは見逃してしまっていたことにも気付く、共同住宅のパース全体を見渡した明るさ検討が行える」(高島氏)。
廊下などの昼間でも暗い場所に照明を設置するかどうかの検討では、とくに棟同士が近い吹き抜け空間で、時間を指定して太陽光による自然光を確かめつつ判断している。他にも、3Dモデル化した植栽を用いて、投光器の夜間ライトアップや住戸への影響、各戸の鍵穴が夜間でも視認できるかなど、以前は別の作業で行っていたことがライトニングフローだけで完結するようになった。今後は、施主への提案や多様なステークホルダーとの合意形成にも活用していくという。
2021年6月21日に予定されているライトニングフローのアップデートでは、パナソニック ライフソリューションズ社が取り扱う照明器具のうち、ホスト無しのファミリや内部構造をネストしたスポットライトなどへの対応といったライトニングフロー用に最適化した2万品番をラインアップする。まずはニーズの高い施設用が中心となるが、今後は需要をみながら住宅向けも含めてさらなる製品追加も検討している。
併せて、独自の照明設計ソフト「ルミナスプランナー」とも新たに連携。ルミナスプランナーは、必要な器具台数の自動計算や照度分布図の作成機能を持つ2次元ベースの照明設計ソフト。Revit連携により、BIMモデルをルミナスプランナーで読み込み、照明器具を一括配置し、ライトニングフローでイメージ確認して再調整した後、Revitにデータを反映させるといったように、Revitで一元的に集約した効率的な照明設計の環境が整うことになる。
高島氏は、「多くの建築設計者に活用してもらい、BIMモデル上でパナソニック ライフソリューションズ社製の照明器具がスペックインされることで、販売拡大に結び付けたい」と目標を語った。
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