次に、将来の先行指標となる手持ち工事高(契約済みの建設工事の請負金額のうち、未着手の工事に相当する金額分)の推移は、2020年は8月に僅(わず)かに前年同月を下回ったが、それ以外の月は全て前年同月を上回っている(図表3)。2021年1月においても手持ち工事高は、前年同月比2.3%増の30兆994億円で、短期的には豊富な手持ち工事量を背景に、建設業の市場環境は比較的堅調に推移するのではないかと考えられる。
2021年1月の手持ち工事高の発注者別・工事種類別では、民間建築・居住用が対前年同月比▲4.0%、民間建築・非住宅用が同▲0.3%と減少しているのに対して、民間土木は同+10.3%、公共土木が同+4.7%と前年同月を大きく上回っており、当面は官民の土木工事が建設市場を下支えする構造となりそうである(図表4)。
建設総合統計のデータから見て、建設工事の出来高はバブル経済崩壊以降、約20年間にわたって低迷が続いたが、2011年の東日本大震災以降は復興需要を中心とした公共工事を中心に増加基調に転じている。また、2021年の1月の手持ち工事高は、官民の土木工事を中心に前年を上回る水準であり、今後についても、短期的には堅調に推移しそうである。
ヒューマンタッチ総研
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