ALSOKが羽田第3ターミナル駅で2021年1月に、5Gを活用した次世代の警備業務で実証5G

ALSOKと京浜急行、NTTコミュニケーションズは2021年1月に羽田空港第3ターミナル駅で、5Gを警備業務に活用して、地域課題の解決を実現するモデル構築と遮蔽(しゃへい)物の多い閉鎖空間でのローカル5Gの技術検証を開始する。

» 2020年12月28日 06時00分 公開
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 綜合警備保障(ALSOK)、京浜急行電鉄、NTTコミュニケーションズの3社は2020年11月、コンソーシアムを組成し、ローカル5Gを活用した警備業務の実現に向けた実証実験をともに進めることで合意した。今回の実証は、ALSOKが総務省から同年10月に、「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」を受託したことを受けて行う。

4K映像を用いたドローンやロボットで駅構内を自動巡回

 犯罪の多様化や体感治安の悪化といった社会情勢の変化により、昨今は警備に対するニーズが高まっているが、施設での巡回監視や管理業務などは、生産年齢人口の減少や労務費の高騰などを背景に、これまでのマンパワーを中心とした警備モデルからの変革が求められている。

 そこでALSOKは以前から、高度な警備サービスの実現と省人化による効率的な警備サービスの提供を目的に、総務省の5G実現による新たな市場創出に向けた総合的な実証試験に参画し、その特長である超高速・超低遅延通信を生かすことで、防犯カメラの高精度ライブ画像の共有や画像解析による異常検知などのテストを行ってきた。

 3社で行う実証実験では、これまでの検証結果を踏まえ、人員不足を補いつつ、警備に対する需要に対応するため、新たな技術の活用による巡回や監視といった警備業務を発展させ、「遠隔巡回・遠隔監視などによる警備力向上に資する新たなモデルの構築」を目指す。ローカル5Gを警備業務で活用するメリットは、外部からの侵入や無線のなりすましに強い高セキュリティ通信の他、4K映像を送信しながら移動するドローン・ロボットとの安定的な超低遅延通信、他の無線電波に影響されない独立した運用などが見込まれる。

実証実験システム構成図 出典:ALSOK、京浜急行、NTTコミュニケーションズ

 実験の場は、京急電鉄「羽田空港第3ターミナル」駅を対象とし、2021年1月から開始する。具体的な実験の中身は、課題実証として、高精細4K映像を用いたドローンやロボットによる自動巡回または遠隔巡回を試す。運用するシステムとしては、行動検知AIで不審行動や歩行サポートが必要な方の自動検知を行うシステム、対処に最適な警備員へ指示を行うALSOKスタッフなどとの連携システム、全ての情報を集約する遠隔統制席(監視センター)をそれぞれ現場に構築する。これらのシステムを用い、5Gの超高速・超低遅延を生かした警備員などへの最適指示など、警備分野におけるローカル5G活用策と導入効果を明らかにしていくことになる。

 また、技術検証では、駅構内で遠隔巡回・遠隔監視のために、ローカル5G網をNTTコミュニケーションズが整備し、遮蔽物の多い屋内空間での電波伝搬も検証するという。

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