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» 2020年05月29日 10時00分 公開

いまさら聞けない建築関係者のためのFM入門(2):FMはどこから来たのか、そしてFMを学ぶには――(上) (1/2)

本連載は、「建築関係者のためのFM入門」と題し、日本ファシリティマネジメント協会 専務理事 成田一郎氏が、ファシリティマネジメントに関して多角的な視点から、建築関係者に向けてFMの現在地と未来について明らかにしていく。第2回からは、FMの発祥とその後の発展、さらにいかにしてFMを学ぶかをテーマに、複数回にわたり述べる。

[成田一郎(公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会 専務理事),BUILT]

◆FMの発祥とその後の発展

 ファシリティマネジメント(FM)の発祥の地は、米国である。1980年に米国で「国際ファシリティマネジメント協会(IFMA:International Facility Management Association)」が、ファシリティマネジャーの職能確立とFM普及のための組織として設立したのがその端緒となる。IFMAの設立趣旨が企業のためというより、ファシリティマネジャー個人の職能の確立という意味合いが強いことにご注目いただきたい。いかにも米国らしく、協会名は「米国FM協会」ではなく、「国際FM協会」である。

「国際ファシリティマネジメント協会(IFMA)」の協会紹介ページ (クリックでIFMAへ)

 米国では、1970年代よりFMの実践例が見られるが、とくに1979年に米国の家具メーカー・ハーマンミラーなどが設立した「ファシリティマネジメント研究所(FMI:Facility Management Institute)」で、組織的かつ学術的な活動が行われ、それらの概念はIFMAに引き継がれている。FMIは、当時、FMの概念を「3P」、つまり、「FMは、People(人)、Place(場)、Process(業務)の3つを対等に評価し、調整すること」としていたが、その概念はIFMAが引き継いだばかりでなく、2018年4月に国際標準化機構(ISO)から発行されたFMシステムに関する国際規格「ISO 41001」※1にも引き継がれている。

※1 「ISO 41001:2018 ファシリティマネジメント−マネジメントシステム−要求事項及び利用の手引き:Facility management−Management systems−Requirements with guidance for use」:国際標準化機構(ISO)で発行されたファシリティマネジメントシステムに関する国際規格/日本規格協会グループの規格書リンク

 米国では1980年代には既に、FMの教育機関として、コーネル大学人間生態学部やグランド・バレー・ステート大学経済学部など、20以上の大学があることが報告されている。現在、IFMAは、100か国以上に支所を置きグローバル組織に発展し、毎年“World Workplace”と称し、展示会・発表会を開催、資格制度も展開している。

FM先進国の米国 Photo by Pixabay

◆英国を契機に欧州各国でも協会が設立

 一方、欧州では1993年に英国の王立建築家協会が支援し、「英国FM協会(BIFM:The British Institute of Facility Management、現・IWFM:Institute of Workplace and Facilities Management)」が発足。その後、ドイツ、フランス、オランダ、オーストリアら欧州の国々がFM協会を設立した。近年では、EC各国を中心としたEuroFMネットワークが構築され、参加国代表のアンバサダーがおり、交流が進んでいる。

 さらに、先ほど述べた、FMの国際標準規格ISO41001の国際会議は、2012年に英国規格協会より提案され、JFMAが日本の審議団体として参加。米国、ドイツ、フランス、中国、韓国など当初は19か国で始まったが、近年では、ロシア、アフリカ、中南米、ASEANなど全世界から参加国が増えており、FMがグローバルに認知されるとともに急速に発展していることがうかがえる。

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