連載
» 2020年06月10日 10時00分 公開

FMはどこから来たのか、そしてFMを学ぶには――(下)いまさら聞けない建築関係者のためのFM入門(3)(1/2 ページ)

本連載は、「建築関係者のためのFM入門」と題し、日本ファシリティマネジメント協会 専務理事 成田一郎氏が、ファシリティマネジメントに関して多角的な視点から、建築関係者に向けてFMの現在地と未来について明らかにしていく。第3回は、前回に続き、いかにしてFMを学ぶかをテーマに詳しく解説する。

[成田一郎(公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会 専務理事),BUILT]

◆FMを学ぶには

 FMには、「認定ファシリティマネジャー(CFMJ:Certified Facility Manager of Japan)」の資格制度があり、1997年に創設されている。この制度は、日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)とニューオフィス推進協会(NOPA)、そしてロングライフビル推進協会(BELCA)の3団体が協力して運用している。

 FMに携わる全ての者を対象に、FMで必要な専門知識や能力についての試験を行い、試験に合格し、登録を行った者に「認定ファシリティマネジャー」≫の称号を与えている(※2020年度の資格試験は、6月28日の予定だったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止)。

 教科書は、「ファシリティマネジメントガイドブック(1994年、同第2版1998年、日刊工業新聞社)」、その後「総解説ファシリティマネジメント(2003年、同追補版2009年、日本経済新聞社)」と変遷を経て、現在の教科書は、「公式ガイド ファシリティマネジメント」(B5判 p427、編:FM推進連絡協議会、出版:日本経済新聞出版社、2018年1月25日)となる。

「公式ガイド ファシリティマネジメント」

 資格試験は、この教科書をベースに出題されるが、本書は単なる受験用教科書としてだけではなく、先に述べたFMのISOも反映されており、FMを実践する者のまさに座右の書とも呼べる。

 世界中でFM関連書籍は数多く出版されているが、FMを体系的にまとめたオフィシャルの教科書を発行しているのは、現状では日本だけである。FMを学ぶには、ぜひ公式ガイド ファシリティマネジメントをご一読いただきたい。

 それでは、公式ガイド ファシリティマネジメントを引用しながら、話しを進めよう。その目次構成をみると、FMとして何を学ぶべきかを理解できる。

 第1部「経営とFM」、第2部「FMの業務」、第3部「FMの知識」、第4部「広がるFM」とある。

「公式ガイド ファシリティマネジメント」目次構成

 第1部「経営とFM」では、FMの定義、目的、機能、さらにFMの標準業務サイクルを示すとともに、FMと経営との関係、経営を取り巻く環境の変化、例えば、地球環境、BCM、ISO、ICTなどについて説明している。

 第2部「FMの業務」では、FMの標準業務サイクル「Plan:FM戦略・計画→Do:プロジェクト管理/運営維持→Check:評価→Act:改善」と、PDCAサイクルを回すことと、それらを統括する「統括マネジメント」の5つのFM業務とそれらを遂行する目標管理(MBO:Management By Objective)の考え方について解説している。

 第3部「FMの知識」では、FMの業務を遂行するために必要な関連知識、つまりファシリティは人間が使うものなので「人間性関連の知識」、さらに「ワークプレース関連」「不動産取引関連」「施設(建築)関連」「法令など」について述べている。

 第4部「広がるFM」では、オフィス以外にもあらゆる用途に広がっているFMについて、地方公共団体をはじめ、医療施設、教育施設、商業施設などの13例について各種施設特有のFMの役割と課題を説いている。

 公式ガイド ファシリティマネジメントでは、ファシリティマネジメント(FM)を「企業、団体などが組織活動のために施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動」と定義する。

 「企業・団体など」には、あらゆる組織が含まれ、「施設とその環境」がファシリティであり、マネジメントとは、「総合的に企画、管理、活用する」を意味する。つまり、FMは、「ファシリティを通じた経営活動」であり、ファシリティを総合的に把握、マネジメントし、全体最適化を目指すものである。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.