大林組は三重県伊賀市の川上ダム本体建設工事において、型枠自動スライドシステムを適用した。型枠スライド作業をタブレットで操作し自動化することで、省人化や生産性向上を実現する。
大林組は三重県伊賀市の川上ダム本体建設工事において、ダム情報化施工技術「ODICT」の1つである型枠自動スライドシステムを適用した。ダムの発注者は、独立行政法人 水資源機構。
自動クライミング機能を持つ昇降式足場や、型枠の位置情報を確認する測量システムなどを組み合わせることで、型枠の取り外し、縦方向のスライド、位置決めから建て込みまでの一連の作業を全自動で行えるシステムを開発した。
コンクリート重量で水圧を支える重力式コンクリートダムの川上ダムは、コンクリートを1回で1ブロック、幅15.0メートル×高さ1.5メートルの層になるように下部から打ち重ねて建設する。コンクリート型枠は、打ち重ねごとに足場と併せてクレーンでつり上げ、作業員が位置を調整し建て込むが、熟練の作業員でも多くの手間と時間を要する。そのため、型枠の移動、設置作業の自動化、省人化が重要な課題の一つだった。
同システムでは、システムの操作をタブレットから行えるため、クレーンを使用する必要がない。従来の標準的なダム型枠作業で必要な人員は、型枠工4人とクレーンオペレーター1人であった。タブレット操作であれば、それを1人に削減できる。
また、従来1ブロック当たり横幅3.0メートル×高さ1.5メートルの型枠を5枚並べて打設し、1枚ずつクレーンでスライドしていたが、同システムでは一度に1ブロック横幅15.0メートル×高さ3.0メートルで組んだ型枠を、最大で横幅30.0メートルの2ブロック分スライドできる。高さも1回のスライドで2層分打ち重ねることができ、施工速度は従来手法の作業比で4倍程度に向上したという。
さらに、測量機器(トータルステーション)やGNSSが型枠の座標を自動で測定し、操作者はタブレットに上で型枠と設置位置までの距離を確認、指示するだけで走行装置が自動で移動する。
大林組は、同システムを橋脚や立坑などコンクリート壁のある構造物工事に適用するなど、積極的に活用していくとしている。
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