鹿島建設は、ケーソン工法に用いる筒状構造物「ケーソン」が近年大型化と大深度化が進み、組み立てる鉄筋量が増えていることを踏まえて、鉄筋のユニット化や組み立て作業を効率化する新工法を開発した。新工法を「中央新幹線、小野路非常口他工事」に適用した結果、従来工法と比較して、半分の時間で業務を完了した。
鹿島建設は同社のHPで、ケーソン工事の躯体構築作業を短縮する「大型ユニット鉄筋先組工法」を開発したことを2020年10月29日に発表した。
ケーソン工法は、円形や矩形(くけい)などの形状をした筒状構造物「ケーソン」の底盤部を掘削することで、ケーソンを沈下させながら、ケーソン上部に躯体を構築して施工を進める。ケーソン工法では土砂を掘削する順序や地盤の軟らかさなどが原因となり、沈下する際に躯体にわずかながら傾斜が生じる。既設躯体の傾いた鉄筋にユニット化した鉄筋を正確に継ぎ足すことは難しく、躯体構築における鉄筋組み立て作業は、躯体上で行うことが一般的だった。
しかし、近年ケーソンの大型化と大深度化が進み、組み立てる鉄筋量が増え、鉄筋のユニット化や一括組み立てによる作業の生産性と安全性の向上が求められていたため、鹿島建設は大型ユニット鉄筋先組工法を開発した。
新工法は、現場で地組みし大型ユニット化した鉄筋をケーソンの傾斜に合わせて揚重することで、既設躯体へ一括して正確に鉄筋を継ぎ足す。具体的には、ケーソンの躯体形状に合わせて制作した鉄筋組み立て架台上で鉄筋を配筋とユニット化した後、トラバーサを使用してユニットの形状を保持する。
大型ユニットの鉄筋を揚重する時は、油圧式の吊り治具を地上から遠隔操作して油圧ジャッキを伸縮させることで、大型ユニット鉄筋の傾斜をケーソンの傾きに合うように調整し、姿勢を制御した状態で継ぎ足し部分へ運ぶ。
新工法を用いることで、複数の作業が同時に行われる躯体上での鉄筋組み立て作業が、現場内の地上ヤードで施工できるようになるため、工程短縮が図れ、足場上での高所作業が無くなり、安全性もアップする。
鹿島建設は既に、東京都町田市で2016年4月から手掛けている「中央新幹線、小野路非常口他工事」に新工法を適用し、ケーソンの大型ユニット化を行い、従来工法と比べて、約半分の日数で組み立てを完了した。
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