EX・ダンビー協会は、展示会などで、オーストラリアのダンビーが開発した「ダンビー工法」の普及を進めている。ダンビー工法は国内に技術導入された1992年以降、年々施工実績を増やしており、2019年度までの累計施工実績は28万4835平方メートルに達している。
EX・ダンビー協会は、下水道管の維持管理で役立つ管渠(かんきょ)更生や修繕の技術などが一堂に会した展示会「下水道管更生技術施工展 2020 横浜」(会期:2020年10月29日、よこはま動物園 ズーラシア北門駐車場)に出展し、800〜3000ミリまでの中大口径管渠に適用可能な更生工法「ダンビー工法」を披露した。
ダンビー工法は、硬質塩ビ製の帯板(ストリップ)を既設管の内側に密着させつつ、接合用かん合部材「SFジョイナー」を用いて、螺旋(らせん)状に製管し、隙間に高流動で高強度の充填(じゅうてん)材を注入して、断面縮小を最小源に抑えた複合管を形成する。
施工手順は、まず高圧洗浄機で、施工区間の管渠内を洗浄する。管渠内に突起物や欠損、侵入水がある場合は、必要に応じて事前処理を行う。管渠の上部に、アンカーボルトを使用して、充填剤注入用の挿入口を設けた鋼製材料「スペーサー」を取り付けるとともに、注入用のホースをけん引するワイヤも設置する。
次に、エア駆動でストリップの繰り出しや巻き取りが進められる「ストリップフィーダー」で、マンホールからストリップを引き込み、管渠内に取り付け、製管機を利用してSFジョイナーで嵌合し、連続したストリップ管を形成する。スペーサー内に専用ワイヤで充填材の注入用ホースを通しつつ、既設管とストリップ管の隙間に充填剤を段階的に注ぎ込む。
EX・ダンビー協会の担当者は、「ダンビー工法は、円形渠や矩形(くけい)渠、馬蹄形渠に適用でき、老朽化した既設管の強度や耐震性を新管と同等以上にする。供用化の管渠でも使え、管内の段差や屈曲部に対しても適用可能だ。供用下の管渠でダンビー工法を適用する場合は、水位が管径の30%以下かつ40センチ以下でなければならない。長距離施工にも対応しており、ストリップフィーダーのストリップが切れて繰り出しが難しくなっても、手作業で代替部材“コネクター”をストリップに継ぎ足していけば、ストリップ管の形成を続けられる。また、ストリップ管は塩ビ製のため、既設管より粗度係数が優れており、汚水の流下能力向上に役立つ」とダンビー工法の特徴について説明した。
さらに、「ダンビー工法が既設管の耐震性を高められるのは、使用する部材のSFジョイナーが、地盤の永久ひずみ1.5%による管軸方向変異とレベル2の地震動による屈曲角が同時に発生しても、管内の水密性を内水圧0.2MPa(メガパスカル)に維持するためだ」と補足した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.