次に登壇したパナソニックの大野氏は、エアリライトの詳細について触れた。
「エアリライトは、有機系材料の割合を調整し、発泡ウレタンをアルミシートとガラス繊維シートで包む構成にすることで、1平方メートルあたりの総発熱量を8メガジュール(MJ)以下に抑えている。また、軽量な天井材にするため、これまでにない厚さ4ミリの薄いウレタンを独自開発し、エアリライトに採用した」(大野氏)。
エアリライトの重さは、一般的な化粧石こうボードの約12分の1で、従来の軽量天井材と比較して約半分。鋼製下地と合わせても、1平方メートルあたりの質量が2キロ以下で、ブレースの設置がいらないため、鋼製下地と天井裏のダクトや設備との干渉リスクを減らせる。
施工性に関しては、出荷の段階で、マグネットやフック掛け式の金具、連結バーといった必要なパーツがエアリライトに搭載されているため、簡単な作業で鋼製下地に配置できる。エアリライトの鋼製下地への取り付け手順は、まず、エアリライトに装着されたフック掛け式の金具を隣接するエアリライトの連結バーに引っ掛け、施工治具を鋼製下地に差し込む。エアリライトの左右端部にある連結バーの2カ所を鋼製下地にネジで固定して完了する。
大野氏は、「エアリライトは、ネジ2本で鋼製下地に固定可能なため、1枚あたりの施工時間は40秒で済む。一方、従来使われていた化粧石こうボード t9.5は、20本のネジで鋼製下地に固定するので、取り付け時間は1枚あたり1分20分秒かかっていた」とコメントした。
エアリライトの点検口は、フレームが無い独自構造で、端にある開閉用レバーを引き出すことで、点検口パネルが開くようになっている。
パナソニックは、エアリライトの性能を確かめるために、大阪府門真市にある同社のプロダクト解析センターで、地震試験や天井材落下試験、不燃性実験を行った。地震試験では、ブレースが無い在来工法の一般鋼製下地を使用し、補強板を下地に設けたダウンライトを設置したエアリライトに震度6強の地震波による振動を与えた。結果、エアリライトは、震度6強の地震波による振動と瞬間で約3Gの加速度に耐え、落下せず、大きな変形も無かった。
天井材落下試験では、エアリライトの落下による衝撃は、一般的な石こうボードの約6分の1だと分かった。不燃性を確かめるために行った燃焼試験では、約2分間の燃焼でも燃えず落下しないことが判明した。エアリライトは、発火しても落ちないように、表層シートの裏面が鋼製下地に金具で固定され、ウレタンの燃焼後もシートが金具に引っ掛かるようになっている。
今後、パナソニックでは、東京都品川区にあるパナソニック ハウジングシステム事業部 品川研修所の展示ルームや施工研修ルーム、プレゼンルームに、デベロッパーや設計会社、施工会社などを招き、エアリライトを訴求する方針を示している。
エアリライトの売上目標は、2030年度までに100億円で、建築システムBUでは、非住宅・非戸建て製品の売上比率を2030年度までに、現在の5%から25%まで上げることを目指す。
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