パナソニック LS社が大阪府のオフィスで「WELL v2認証」の予備認証を取得パナソニックが考える「2020以降の街づくり」(1/2 ページ)

パナソニック ライフソリューションズ社はオフィス環境の改善を進めている。2020年6月に、大阪府門真市にある同社技術本部イノベーションセンターオフィスで、建物の快適性を評価する「WELL v2認証」における全評価項目の基準をクリアし、予備認証を取得した。

» 2020年09月10日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

 パナソニック ライフソリューションズ社は2020年6月、大阪府門真市にある同社技術本部イノベーションセンターオフィスで、施設空間の快適性を評価する「WELL v2認証」の予備認証を取得した。同年9月7日には、WELL v2認証の予備認証取得に関するオンライン記者説明会を開いた。

 会場では、パナソニック ライフソリューションズ社 常務 技術本部 本部長 岡秀幸氏が、WELL v2認証の取得に向けたイノベーションセンターオフィスの取り組みを紹介した。

温湿度や空気質を見える化するシステムを搭載

パナソニック ライフソリューションズ社 常務 技術本部 本部長 岡秀幸氏

 イノベーションセンターオフィスは、同社技術本部で開発したソリューションを実証する場として2018年にリニューアルした施設で、「同じ環境下で働く人が等しく快適性を感じるわけではない」というWELL認証の思想を踏まえて、従業員が業務内容や気分に合わせて選べる8種のワーキングスペースを備えている。8種のワーキングスペースは、リラックスゾーンや超集中ルーム、情熱ミーティングルーム、マイクロブレークスペース、ナチュラルゾーン、フォーカスゾーンから成る。

パナソニック ライフソリューションズ社技術本部イノベーションセンターオフィス
技術本部イノベーションセンターオフィスのフロアマップと8種のワーキングスペース

 今回、同社がイノベーションセンターオフィスで取得を目指すWELL v2認証は、WELL認証の米運営会社IWBI(The International WELL Building Institute)が2018年にリリースしたもので、従来タイプと比べて評価項目や基準が刷新されている。評価項目は、「空気」「水」「栄養」「光」「運動」「温熱快適性」「音」「材料」「心」「コミュニティー」「イノベーション(革新性)」の11種で、イノベーションセンターオフィスでは既に全項目の基準をクリアし予備認証を取得している。

 「現在、新型コロナウイルスの影響で、米国のIWBI審査員が来日できず、イノベーションセンターオフィスの査定が難しいため、WELL v2の本認証取得が遅れている」(岡氏)。

 全評価項目のうち、イノベーションセンターオフィスでは、とくに、空気、温熱快適性、光、心、音、イノベーションの6カテゴリーに向けた取り組みに注力している。

 空気では、清浄度の高い換気と空気質モニタリングのシステムを導入。換気では、フロアのクローズドスペースに全熱交換形換気システムを搭載し、オープンスペースには外気処理エアコンを配置して、外気と室内の空気を入れ替えやすい環境を構築している。また、部屋の中に取り付けた4つの空気質センサーで、フロア内のCO2やVOC(揮発性有機化合物)、PM2.5をセンシングし、専用のシステムでモニタリングして、オフィス内にある各ゾーンの空気質を常時見える化し、換気するタイミングが分かるようになっている。

空気質モニタリングシステムの画面

 温熱快適性では、室内に温湿度センサーを30個配置し、30カ所の温度と湿度を可視化するとともに、フリーアドレス制を採用し、スタッフが好みの温度環境で働ける環境を整えている。さらに、部屋の中が心地良く感じる温度と湿度に保たれているかを確かめられるシステムを備えている。

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