2019年度の販売総数で誘導灯100万基以上、非常灯300万基以上とも言われる防災照明の市場で、確固たる存在感を示すパナソニック ライフソリューションズ社は、防災照明を災害時に「いのちを守る」あかりとして、定期点検の重要性をVRや動画など多面的な方法を駆使して啓発している。
パナソニック ライフソリューションズ社は、9月1日の“防災の日”に先立ち2020年8月31日、防災照明オンラインレクチャーを開催した。
国内では毎年、地震や台風など甚大な災害が発生しており、今後も多発が予測されるため的確な対策を講じることが急務となっている。そうした状況を踏まえ、パナソニック ライフソリューションズ社では、防災照明を人の命を守る最後の砦=「いのちのあかり」と位置付け、防災照明の点検や交換の啓発活動に注力している。
防災照明は、大別して「誘導灯」と「非常用照明器具(非常灯)」の2種類があり、誘導灯は避難口の位置や避難経路の方向を示し、非常灯は天井に取り付けて室内や避難経路を照らす役割がある。
防災照明が抱える現状の課題としては、設置後の適切な維持管理が挙がる。誘導灯は消防法(第17条第1項)で6カ月に1度、非常灯は建築基準法(第8条第1項)で6カ月〜1年の間隔で特定行政庁が定める時期と、それぞれ定期的に点検を行うことが義務化されている。
しかし、現実にはオーナー任せとなっており、とくに非常灯は、そもそも非常時にしか点灯しないので、お金をかけて点検する意義を施主が見い出しにくい。そのため、メンテナンスが行き届いていないケースも多く、寿命を迎えた器具やバッテリーがそのまま放置されていることが少なくない。
これまでにも、こうしたメンテナンスの重要性について、日本照明工業会などの業界団体が販促物などを通して啓発を行ってはいるが、なかなか改善される見通しは無い。そこで、パナソニック ライフソリューションズ社は、「動画」と「体験」という新しい切り口でアプローチした。
動画は、ビルメンテナンス会社や施主に、ホワイトボードを使って防災照明の必要性やメンテナンス方法、点検を怠った場合の罰則規定などを分かりやすく解説し、YouTubeやパナソニックのHP上にアップロードしている。コロナ禍の中で、対面での説明がスムーズにできない現状でも有効な訴求策となる。
VRは、「あなたは光無しで逃げられるか」をテーマに体験ソフトを制作。仮想空間内に地震発生によるオフィスの火災現場を再現し、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着した体験者は、煙を避けるため実際にしゃがむなどしてリアルに時間制限の中で避難を行う。ストーリーでは非常灯が途中で消え、点灯時と非点灯時の両方を体験することで、防災照明の大切さを身を持って理解することになる。
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