浮穴氏は、SUSTIEの省エネ性について、「SUSTIEは、BELS認証制度における基準ビルの数値に対して、63.5%の省エネを達成し、建物の屋上と南面の庇(ひさし)に設置した太陽光パネルで42.5%の創エネを実現した。省エネ量と創エネ量の合計が106%となり、BELS認証の最高評価“5スター”とZEBの最上位ランク『ZEB』を取得した。2016年4月から2022年5月までに、設計段階で『ZEB』を獲得した物件の延べ床面積を見ると、2000平方メートル未満の小規模ビルが大半で、今回開設した延べ床面積約6460平方メートルのSUSTIEで『ZEB』を設計段階で取得できたことがどれだけ革新的かが分かる」と強調した。
続けて、「施設のエネルギー使用量を減らすため、ビル設備には三菱電機製の高効率な機器を採用している。空調にはビル用マルチエアコン“グランマルチの(高COP仕様)”を使用し、換気機器には熱交換型の“ロスナイ”を導入した。空調機器の室外機は各フロアの東西面にある設備バルコニーに配置している。施設内の照明はLED照明“MILIE”で、給湯機はヒートポンプ給湯機“業務用エコキュート”を用いている。建物内の昇降機には“AXIEZ”を利用し、配電設備の一部では、省エネと創エネに対応した直流配電システム“D-Smiree”を活用している」と語った。
加えて、「SUSTIEでは自然エネルギーも利用している。南面から取り入れた空気が放射パネルで冷えて、建物の吹き抜け空間に流れ、暖まった空気は上昇して建物4階の窓から排出されるため、暑い時期でも屋内は涼しく、エアコンの使用が抑えられる。窓の開閉や放射パネルの制御は、国内外の空気環境をセンシングしたデータに基づき、三菱電機製のビル管理システムが自動で行っている。とくに春や中間期では、前述の自然換気を実施することで、エアコンをほとんど使わずに換気と室内の温度調整が図れる」と補足した。
今後の展開について、浮穴氏は、「施設内に配置した三菱電機製の設備機器を実環境で効果検証するとともに、今回発表していない設備制御技術を導入し、SUSTIEの省エネ性能を向上させる。搭載予定の設備制御技術は、AIを活用した設備の省エネ制御技術やシミュレーションによる運用の最適化を見込んでいる」と明かした。
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