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» 2020年08月18日 09時00分 公開

高層階の広範囲で安定した通信ネットワークを構築する新システム新工法

戸田建設らは、建設を進める高層ビルの高層階でも安定した通信ネットワークを構築する新たな通信システムを開発した。新システムの効果を検証した実証実験では、新システムにより高層ビル16階フロアの通信環境が大きく改善し、各フロアの大部分で無線通信が可能となった。

[BUILT]

 戸田建設は、古野電気やPicoCELAと共同で、建設を進める高層ビルの高層階でも安定した通信ネットワークを構築できる新たな通信システムを確立した。

 新システムは、戸田建設と古野電気が共同開発した「ウェーブガイドLANシステム」と、PicoCELAの独自の無線LAN接続方式「無線バックホール方式」を組み合わせたもので、建設中の高層ビルで実証実験を行い、有効性を確かめた。

16階フロアの通信環境が大きく改善

 ウェーブガイドLANシステムは、電波を放射するアンテナユニットに建設現場で仮設材として用いられる単管パイプ(導波管)を接続することで、LANケーブルを敷設することなく、建物内に無線通信環境を構築する。

 工事の進捗に合わせて拡張することが容易なため、携帯端末やIoT機器を使用する機会が多い工事への適用が推進されてきた。しかし、ウェーブガイドLANシステムの出力には限界があり、高層ビルの高層階では、フロア全体に安定した無線通信環境を構築できないという課題があった。

新たに開発した通信システムのイメージ 出典:戸田建設

 出力の問題などウェーブガイドLANシステムの短所を無線バックホール方式を活用することで解消したのが新システム。無線バックホール方式は、複数のアクセスポイント間を無線接続し、屋内外を問わず容易に無線通信環境の構築と拡張が進められる。

 新システムは、縦系統(高さ)の無線ネットワーク構築や拡張で有効なウェーブガイドLANシステムと、横系統(広さ)の無線通信環境の構築や拡張に優れるPicoCELA製アクセスポイント「PCWL-0410」を併用することで、広範囲に安定したワイヤレスネットワークを構築する。

 また、建設現場では、コンクリートの床や壁により、上方向へ電波送信が困難になるが、パイプシャフトやダクトスペースなどの縦空間に単管パイプを通すウェーブガイドLANシステムで、上方向へ電波が送れる。

 さらに、導波管バックホール接続で、単管パイプの途中に設置した中継用のアクセスポイントにつなげれば、より高層階に無線ネットワークを広げられる。室内に中継用のアクセスポイントを増設し、部屋全体に無線通信環境も構築できる。

 新システムの効果を検証した実証実験では、ウェーブガイドLANシステムを建設中のビルに適用し、PCWL-0410設置前後の通信環境を確認した。PCWL-0410は、建物の1階から16階まで立ち上げた単管パイプ(導波管)の1階、10階、16階の3箇所に配置。有線LANの接続は1階のPCWL-0410のみとした。

 結果、PCWL-0410の増設によって16階フロアの通信環境が大きく改善し、各フロアの大部分で無線通信が可能となった。

16階フロア内の通信状況。新システムの導入前(左)と導入後(右) 出典:戸田建設

 現在、戸田建設は、建設を進める超高層ビルの地下4階から地上38階までに新システムを適用し、5台のアクセスポイントで良好な無線通信環境を構築している。今後は、新システムを全国の作業所に展開し、高所でも各種端末やIoT機器を使いやすくし、安全と品質の向上を図る。

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