吉川工業は、建設現場で建機と作業員の衝突事故を防ぐ「統合型作業者接近検知システム」を開発し、展示会などで認知拡大を進めている。
吉川工業は、メンテナンスと国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)をテーマに掲げる建設総合展「メンテナンス・レジリエンス OSAKA 2020」(会期:2020年7月29〜31日、インテックス大阪)内の「i-Construction推進展2020」で、建設重機と作業員の接触事故を予防する「統合型作業者接近検知システム」を訴求した。
検知システムは、検知器や作業車が身に着けるアクティヴRFIDタグ、LED表示灯とスピーカーを組み合わせた警報装置、非検知エリアの設定装置から成る。
検知の仕組みは、アクティヴRFIDタグを装着した作業者が重機に取り付けた検知器に一定の距離以上近づくと、検知器が感知し、警報装置がアラートを鳴らして、重機のドライバーに注意喚起する。警報装置は、検知距離によって2段階で音が変わるため、危険性の度合いを判断するのに役立つ。
また、現場のさまざまな箇所に、アクティヴRFIDタグの位置情報を読み取るアクティブリーダーを設置することで、作業員の動きが見える化され、PCに位置データを記録することで、後々の安全教育や指導にも使える。非検知エリア設定装置を使用し、検知機がRFIDタグをセンシングする範囲を決められるため、運転手がRFIDタグを携帯していても、警報装置が発報しないようにできる。
吉川工業では、統合型作業者接近検知システムのアクティブRFIDタグををトンネル工事に応用した「建機と業者の位置管理システム」も提供している。建機と作業者の位置管理システムは、トンネル坑内に、100メートル間隔でアクティブリーダーを配置し、エリアを区分けして、作業者や建機のアクティブRFIDタグで位置情報を収集する。建機には検知器を備え、統合型作業者接近検知システムと同様に接触事故を防ぐ。
アクセスポイントを経由して、PCなどに位置情報を蓄積可能なため、作業実態の可視化にも役立ち、トンネルへの車両やスタッフの入出管理にも使える。
吉川工業の担当者は、「建機と業者の位置管理システムはGPS無しで、作業者の位置情報が分かるため、多くのゼネコンがトンネル工事で採用している。統合型作業者接近検知システムとの違いは、建機の位置情報もアクティブRFIDタグやアクティヴリーダーなどで取得する点。2019年頃からは、建機メーカーが、現場作業員との衝突事故を防止する建機の自動停止機能に導入している」と説明した。
総力特集:
メンテナンスと国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)に焦点を絞った建設総合展「メンテナンス・レジリエンスOSAKA 2020」が2020年7月29日、インテックス大阪で開幕する。
コロナ禍の中で、ひさびさとなる建設展の開催となった本展では、インフラ検査・維持管理をはじめ、建設資材、防災・減災、i-Construction、労働安全衛生など、最先端の資機材やサービスが一堂に会する。特集ページでは、会場でのブース取材やセミナーレポートで、インフラの最新テクノロジーや市場動向を紹介する。
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