戸田建設は、独自の柱RC梁S接合構法を改良した。新たなTO-RCS構法は、使用する金物数を減らし、柱主筋径がスリム化する他、鋼材量や溶接回数の低減も見込める。
戸田建設は、物流施設などで多くの適用実績を有する「戸田式柱RC梁S接合構法」(TO-RCS構法)を改良し、設計の自由度拡大と施工時のさらなる省力化を実現した。
TO-RCS構法は、RC造の柱とS造の梁(はり)を接合する。S造の梁が柱梁(ちゅうりょう)接合部を貫通する「梁貫通型」で、接合部を覆う鋼板が型枠を兼用する「ふさぎ板タイプ」の接合部形式となっている。
鉄骨ブレースとの併用も可能で、TO-RCS構法を採用した施設は、S造の建造物と比較して、溶接施工や耐火被覆、柱脚処理などの作業量を減らせ、省力化や工期短縮、コストダウンが図りやすい。TO-RCS構法は、これまで数多くの物流施設などで採用されてきたが、左右の梁段差の改善などを現場から求められていたため、戸田建設は改良に踏み切った。
新たなTO-RCS構法は、図1のように1.0Db(Db:梁せい)までの梁段差に応じられるようになり、水廻りやトラックバース計画などの要望に対して柔軟に対応できるようになった。また、図2にある通り0.2Bc(Bc:柱幅)まで梁偏心を寄せられるようになり、外周梁の外壁に取り付ける金物を低減可能にした。
これまで柱頭に設置していたバンドプレートは、外すことで(図3)、施工性を向上するとともに、鋼材量や溶接回数を削減。柱主筋定着長は、従来の柱主筋径(db)25dbから18dbにスリム化(図4)することで、最上階で柱頭を突出させる必要がなくなり、柱主筋径を選択する幅も広がった。
今後、新構法は、物流施設や商業施設に適用するとともに、病院や事務所ビル、複数階の工場などにも活用していく。
なお、2020年3月17日に、従来方式で日本建築総合試験所から取得した建築技術性能証明を新たなTO-RCS構法の内容に改定している。
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