規制緩和や国内の林業活性化に向けた取り組みが進んでいることを受け、注目が集まっている建築物への木材利用。竹中工務店は環境展示会「エコプロダクツ 2016」に出展し、自社の木材活用技術を展示した。これまでは自社案件のみに適用していたが、ライセンス契約で他社にも提供し、建築への木材利用を後押ししていく方針だ。
竹中工務店は環境展示会「エコプロダクツ 2016」(2016年12月8〜10日、東京ビッグサイト)に出展し、木材を活用する複数の建築技術を披露した(図1)。木材を活用した耐震補強技術「T-FoRest Series」(以下、T-FoRest)で「第13回 エコプロダクツ大賞 国土交通大臣賞」を受賞している。これまでは自社施設を中心に利用してきた技術だが、国内建築に対する木材利用の動きが進んでいることを受け、このほど施工会社とのライセンス契約を締結。自社以外の利用も可能にし、建築工事全般への木材利用を推進していく方針だ。
展示した技術は2つ。1つ目のT-FoRestは、単板積層材(LVL)や直交集成板(CLT)、集成材を活用した耐震補強技術だ。ブースでは鉄骨ブレース構法に木を利用する「T-FoRest Light」と、RC造の耐震壁のかわりに木の耐震壁を利用する「T-Forest Wall」を紹介した。
耐震補強の1つとして、建物の開口部に利用される鉄骨ブレース構法。T-FoRest Lightはこの鉄骨を同等の強度を持つ集成材に置き換えるというものだ。集材剤ブレースの端部にバネを取り付け、これで突っ張った状態で固定する。そのため鉄骨ブレースのように溶接や接着などの固定作業が必要ないというメリットがある。
同じくRS造の耐震壁の代わりにCLTやLVLを利用するT-FoRest Wallも、施工性に大きなメリットがある。分割したCLTなどを台車で運搬し、現地で補強箇所に立て掛け、柱と梁、パネル同士を特殊な接着剤で固定するだけで施工できる。施工時間は従来の半分で済むという(図2)。
これまでT-FoRest Wallは、これまで3件の採用実績があり、現在もさらに3件の利用検討が進んでいるという。これまでは竹中工務店が設計・施工に携わった建物のみに活用してきたが、このほど耐震改修の専門工事会社ショーボンド、ボンドエンジニアリング、東邦アーステックの3社と施工ライセンス契約を締結。建物を稼働させながら耐震改修が可能なT-FoRest Wallの適用拡大を図る方針だ。契約内容は竹中工務店が保有するT-FoRestの性能証明の利用や、実施に関連する特許。適用範囲は公共・民間建築物の制限はないが、性能証明の適用範囲内に限るとしている。
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