ダイナシューターのサイズは、645(幅)×407(高さ)×230(奥行き)ミリで、光束は約4000lm(ルーメン)。レンズタイプLEDの集合体が1ユニットとなっており、4つのユニットで1基のLED投光器を構成している。光学の仕組みは、建築のライトアップでは珍しい、2枚のレンズを組み合わせているため、漏れ光が少なく超挟角で遠くまで届くスポット光を実現した。
一方のダイナペインターは707(幅)×450(高さ)×390(奥行き)ミリで、光束はRGB100%点灯時が約9400lm、W100%では約1万4000lm。光学エンジンは、各色の素子に合わせた専用レンズ設計としたことで、色混ざりの良いキレイな色味と高出力が可能になった。
光の演出は、世界的にも類の無い、複数の光源を一体で制御するシステムを採用。新演出コンセプトのゆったりした動きと活発な動きを具現化するため、塔の心柱を照射する間接光と、鉄骨交差の輝度光を混ぜ合わせて、流れるような動きのある光を作る「ピクセルマッピング」という手法を用いている。
一般的な建築物の外観照明は、カラーパレットから各器具の色を選び、1台別にRGBそれぞれの値を入力し、違うカラーの光を当てて混ぜている。新手法では、動画からRGB値を抽出して、動き・色・光の強さを選択し、RGBから自動的にRGBW/RGBBの4ch制御へと変換して、投光器にデータを入力する。また、新設した器具は、深いブルーなどの色表現を拡張したことにより、従来器具と表現領域が異なったため、色を合わせるプログラムも別途開発した。
セミナー後の東京スカイツリー現場見学会では、地上450メートルの天望回廊屋上から、設備点検用に使っているはしご状の階段で、497メートルの高さまで登った。497メートル地点は、360度関東一円を望むことができる場所で、ダイナシューターとダイナペインターの新設LED投光器が60台設置されていた。
設置工事の際は、10メートル以上の強風や天候が悪いときは原則閉鎖しており、条件が良い日のみ作業を行い、作業員はさらにその上の630メートルまで、毎日昇り降りして取り付けを行った。照明機器の運搬は、階段と柱の間に設けられた3角形の隙間から吊(つ)りあげたという。
東京スカイツリーのライティング増強工事は、施主が東武タワースカイツリー、設計・監理は日建設計、照明コンサルタントはシリウスライティングオフィス、ライティング機器の施工は電気興業が手掛けた。
【訂正】記事の初出時、「ダイナシューター」と「ダイナペインター」の画像に誤りがありました。上記記事は訂正済みです(2020年6月22日13時15分)。
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施主の要望に可能な限り応える「邸別自由設計」を家づくりのモットーとする積水ハウスは、部材の製造でも1棟ごとにカスタムメイドする「邸別生産」を基本方針としている。
AI・IoT・ビッグデータを住宅建材の生産現場に適用したスマートシステムなど、ここ数年注力している先進的な設備投資も含め、積水ハウスの邸別生産を日々支える生産体制の裏側をインタビューから探った。
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