夜の東京スカイツリーを灯すLED照明が2020年2月に刷新された。2020年に開催を予定していた東京五輪に合わせ、通常の「粋」「雅」「幟」の照明デザインに、躍動感が加わり、東京の新たなシンボルとして生まれ変わった。LED投光器は、パナソニック ライフソリューションズ社の製品が新規で347基も採用され、スカイツリー仕様にカスタマイズされた。普段は、滅多に人が立ち入ることが無い497メートル地点まで登り、スカイツリーのライティング増強プロジェクトの裏側を取材した。
パナソニック ライフソリューションズ社と東武タワースカイツリーは2020年6月9日、東京スカイツリーの新しいライティングに使用されているLED投光器を報道陣向けに紹介する「東京スカイツリーライティング機器セミナー及び現場見学会」を開催した。
当日は、東京都港区東新橋のパナソニック東京汐留ビルで、増強工事の経緯や独自技術が詰め込まれた照明器具を説明した後、東京スカイツリーの一般非公開エリアで、照明器具の見学会を行った。
セミナーではまず、東武タワースカイツリー 電波塔事業本部 課長 工藤裕之氏が、東京スカイツリーのリニューアルされた新しいライティングを解説した。
東武タワースカイツリーでは、2020年夏に開催が予定されていた東京オリンピック・パラリンピックに伴う訪日外国人観光客の増加を見込み、タワーを夜間に照らす新しいライティングデザインを2020年2月27日から点灯した。照明の改修工事は、「2020年、東京にさらなる輝きを!パワーアップライティング!」のテーマで2019年5月16日に着工し、アンテナ設備が設置された一番上のゲイン塔部分をフルカラーかつ20キロ先まで照らせるようにして、塔体250メートルと150メートル付近の中間部も、暗がりの無い連続性のある点灯演出を可能にした。
照明デザインのコンセプトは、以前と変わらず、心意気の「粋」、美意識の「雅」、賑(にぎ)わいの「幟(のぼり)」の3タイプを踏襲しつつ、30秒×2回の緩やかな動きと、60秒×2回のアクティブな動きを追加。粋はもともと、力強さや心柱を中心に、光と隅田川の水をモチーフにした淡いブルーの光が特徴となっている。リニューアル後は、泡の揺らぎや煌めきをイメージした「水泡」の緩やかな動きと、湧き水や滝の豊かな水の表情とパステルカラーの水風船を想起させる活発な光の動きとした。
雅は、江戸紫を基調にしており、羽衣の優美な動きのような光がらせん状に上昇していく様を加えた。さらに、一対の扇子による舞踏に似た光のショーを展開する。
幟は、元気さと陰影を強調した光、垂直性のあるデザインで、縁起の良い色とされてきた橘色をベースに、縦のラインで3つの面に旗が掲げられる照明のみだった。新規の演出は、幟の旗がそよ風にはためく演出と、下方から3色9本の幟旗が掲げられていく祭りのイメージをデザインした。
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