清水建設は、東京・江東区潮見に土地代も含めた500億を投資して、研究・研修施設、歴史資料館など新たなイノベーションセンターを計画している。敷地内には、同社の相談役だった渋沢栄一氏の邸宅も青森県六戸町の星野リゾート青森屋敷地内より移築。2代・清水喜助氏が手掛けた建築物として後世に伝えていく。
清水建設は、東京・江東区潮見に取得する予定の用地で、研究施設、研修施設、歴史資料展示施設など、総延べ床面積約2万平方メートルからなる大規模なイノベーションセンターの建設工事に来春、着手する。
プロジェクトは、同社の長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」で示した事業構造、技術、人財のイノベーションを強力に推進することを目的にしたもので、土地代を含む総投資額約500億円を投じて、2022年3月の竣工を目指す。
建設地は、江東区潮見2丁目8番地内に所在する約3万7000平方メートルの土地で、JR京葉線「潮見駅」から徒歩1分、中央区京橋の本社から約6キロ、江東区の技術研究所・東京木工場から約3キロの位置にあたる。建設する施設は、オープンイノベーションや情報発信拠点となる本館、建設ロボットや構造・材料などの生産革新を目指した研究施設、体験型研修施設と歴史資料展示施設で構成。現在運用している技術研究所の機能を一部、新施設に移設して技術研究所の再整備も図る。
これらの施設を活用することで、オープンイノベーションによる生産技術革新や先端技術開発、さらにはものづくり人財の育成、技術の伝承を着実に進め、経営基盤を強化しながら、企業価値も向上させるという。
敷地内には、青森県六戸町に有形文化財として移築されていた「旧渋沢邸」を再移築する。旧渋沢邸は、明治期に同社の相談役を務めた大実業家・渋沢栄一氏の邸宅として、1878年に完成した木造建築。当初は、東京深川(現江東区)に建設されたが、今回のイノベーションセンター計画を機に、ゆかりの深い江東区へと還ることとなった。また、清水建設の前身「清水組」の2代清水喜助氏が手掛けた唯一現存する建築作品であり、後世に伝える文化遺産として保全しながら、歴史資料展示施設と一体的に活用していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.