具体的なビジネスモデルの形態としては、ロボットのレンタルや販売を行う「Smart tools」と、ロボット関連のソフトウェアやアプリケーションが利用できるHiBoxの定額サブスクリプション「Smart services」の2種類を提供。ユーザーの事業規模や利用頻度など要望に応じて、サービスプロバイダーやパートナー企業などを仲介、または直販で、アセットのオーナーへ、エンドツーエンドで供給可能な体制を構築する。
なぜRaaSなのか、グアラニエリ氏は、「これから、建設分野でも、現実世界のデータをデジタル空間に再現する“デジタルツイン”に、自社でも取り組みたいというニーズが確実に高まっていくはず。ハードとソフトの両面からのアプローチであれば、デジタルツインを強力にバックアップできる」と説明する。
ここで言うデジタルツインは、例えば、HiBot製ロボットを導入して、HiBox上に多数あるソフトを利用することで、現状では目視やセンサーで行っている点検員の省人化が図られるといったこと以外にも、スマートデバイスから遠隔で現場を可視化することなどが想定される。点検は作業時間が限られているため、判断や指示にスピードが求められ、管理者がロボットを介してリアルタイムで現場を把握していれば、作業全体の迅速化につながる。
また、図面やロボットが取得する画像、ロボットそのものの稼働状態といったあらゆるデータがHiBoxに集約されることで、クラウド上でビッグデータ化され、それを故障や欠陥、不具合の可能性を予測するAI解析にかけることで、即座に点検結果のレポートも自動出力される。今までの人の手による煩雑な点検報告書の作成と比べ、レポーティング時間の7割削減が見込めれるという。
ソフトウェアを提供する基盤のHiBoxでは、より効率的な自動操縦、サードパーティー製ロボットも含めたマシン稼働状況を確認するモニタリングツールなど、各種ソフトを順次アップデートしていく。「HiBoxは、複数サービスの集合体=マイクロサービスのため、顧客にとっては今まで使っていた機器にプラスαで、新しい点検方法をしてみたいニーズに応えられるサービス」と、間近に迫る高速かつ大容量通信の5G時代が到来することも見据え、クラウドベースのHiBoxが有用な理由を強調する。
現在、HiBotで進んでいるプロジェクトは、3つの大型案件が始動している。その代表的な一つ、最大5メートルまでアームを伸ばせるヘビ型マニュピレータ「FloatArm(フロートアーム)」は、2016年に福島第1原発1号機の内部調査に導入されたロボット「CT-Arm」が技術ベースとなり、狭隘(きょうあい)スペースの遠隔作業用として誕生した。
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