別の流体解析シミュレーションでは、航空機の機内をはじめ、空港、オフィスなどを想定して、着用するマスクによる違いも含め、くしゃみによる飛散や空調と利用者の関係性を調べた。
また、新型コロナ感染症が収束に向かう中で、各オフィスが再開する際に、社員をいかにして段階的に戻していくかが課題になるとして、サプライチェーンの計画と最適化に用いるソフトウェア「DELMIA Quintiq」を応用し、ビル設備の稼働や維持管理、人員の配置、勤怠管理などに用いている。既に仏パリ本社と日本法人の再開に採り入れ、出社ニーズの把握や出退勤スケジュールの立案などを行っているという。
Society 5.0に代表される情報技術の発展と普及を目指す日本を対象にした販売戦略としては、ダッソー・システムズの事業目的「製品と人々の生活と自然の調和」に重なると位置付け、とくに「3DEXPERIENCEプラットフォーム・オン・クラウド」の販売に注力していく。
これまではリモートワークに馴染まなかった業種でも、アフターコロナ後に求められるリスク管理強化や省人化/自動化、ワークスタイル変化などが進み、クラウド版がこうした受け皿になると見込んでいる。中でも、スタートアップ企業には、起業後5年未満や売上高6億円以下などの条件を設定し、特別価格で3DEXPERIENCEプラットフォームのCATIA/SIMULIA/DELMIA/ENOVIAを提供するプランを用意している。
ゴドブ氏は、国内の建設・土木向けには、「今までは、コラボレーションツールがそれほど無かった建設業界で、オン・クラウドの採用が進んでいる。当社の方向性は、(BIMなどの)情報のスタンダード化ではなく、さまざまなステークホルダーを支援するコラボレーション環境の提供を目指していきたい。3DEXPERIENCEプラットフォームを導入することで、例えば、設計のイノベーション、施工領域でのヴァーチャル化や工期短縮などといったことが可能になる。別のアプローチでは、中国の病院建設で示した換気システムのシミュレーションにも力を入れていく」とビジョンを語った。
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