高砂熱学工業が、茨城県つくばみらい市で建設を進めていた本社機能の一部(企画・開発部門)と研究施設を集約した「高砂熱学イノベーションセンター」が完成した。センターは、「地球環境負荷軽減と役割・新機能による知的生産性向上を両立したサステナブル建築」を掲げ、オフィス棟で1次エネルギー消費量がゼロのZEBと、敷地全体ではZEB Readyの認証取得を目指している。
高砂熱学工業が本社機能の一部を、茨城県つくばみらい市に移転するプロジェクトが完了し、2020年3月から稼働を開始した。
センターは、展示エリアやホールなどの多目的エリアと執務エリアから成る地上2階建ての「オフィス棟」、実証/実験室/研究室の地上2階建て「ラボ棟」、2つの棟を連結する形で設けられた展示スペース、プレゼンルームで構成されている。オフィス棟の執務エリアは、高砂熱学工業が取り組んでいるワークスタイル変革の考え方をベースに、「論じる・務める・籠る・集う・憩う」といった機能をレイアウトに採用し、イノベーションを喚起する環境づくりと、生産性を高めるオフィス設計としている。
オフィス棟1階には、「展示スペース」と「カフェレストラン」を設置。展示スペースには、映像が投影された霧状のゲート「エアゲート」、ZEB達成に寄与する主要設備を展示した「エア・システム」、砂漠/南極/熱帯の温度や湿度を体感できるコーナー、空気を通して間接的に熱を伝えるソファと温冷水によって座面の温度を変え、直接熱を伝えるソファで温度の伝わり方の違いを体感できるコーナーなどが配置されている。
カフェレストランは70〜80人の座席数があり、“地域に根ざし、地域に開かれたイノベーションセンターに”とのコンセプトから、地域の方々に開放しつつ、地産地消や季節に合わせた県産の食材を使用する「茨城を食べよう運動」にも取り組む。
高砂熱学イノベーションセンターの概要は、所在地が茨城県つくばみらい市富士見ケ丘2-19で、敷地面積は2万2746平方メートル。建物の規模は、鉄骨造地上2階建て、建築面積は7100平方メートル、延べ床面積は1万1800平方メートル。
また、センターは、「地球環境負荷軽減と役割・新機能による知的生産性向上を両立したサステナブル建築」と位置付け、建物全体に太陽光発電と蓄電池システム、バイオマス発電をはじめ、最先端の独自空調システムを駆使した省エネソリューションを整備している。オフィス棟では1次エネルギー消費量がゼロのZEB、敷地全体ではZEB Ready相当といったエネルギー目標の達成を目指している。
ZEB実現に向け導入された設備のうち地下水利用では、地下水のゼロ次熱利用を目的に地下水蓄熱槽による床放射空調、地下水の1次熱利用を可能にするデシカント空調機/放射空調/デスク空調/DCファン付コイルユニット、地下水の2次熱利用で水冷ヒートポンプ空調機をそれぞれ導入。
再生可能エネルギーは、木質バイオマス発電機による熱電供給(デシカント空調機、暖房/給湯への利用ならびにチップ乾燥利用)、太陽光発電と蓄電池、電気自動車による電力の自給率向上などを図る。その他、昼光利用のハイサイドライトや自然換気窓、放射パネルを輝度面としたやわらかい光による間接照明システムなども設けられている。
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