安藤ハザマが導入を進める自社製作の新ブレース工法、既設ビルの耐震改修にも第24回「震災対策技術展」横浜(2/2 ページ)

» 2020年02月20日 06時00分 公開
[石原忍BUILT]
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ブロック状と壁状の2パターンで補強体を形成

 ブースでは、他に安藤ハザマ他5社で構成する研究会が普及を進めている杭基礎耐震補強工法「CPR(Confining Pile Reinforcement Method)工法」についても説明した。CPR工法は、橋脚などを支える複数の地下杭を補強体で拘束することで、地震に対して強い基礎構造体を構築する工法。

 地下の補強体は、杭中間付近の地盤を恒久性の材料を用いて硬化させることで形成。補強体の形状は、礫地盤以外の砂や粘土などの状態に合わせ、杭の内側も含めて包み込むような「ブロック状」と、杭の周囲に壁を作るような「壁状」の2パターンがある。

2種類の補強体 出典:CPR工法研究会
施工方法の違い 出典:CPR工法研究会

 CPR工法は、増し杭工法に比べ、コストの縮減や工期短縮が見込め、施工時にも、ボーリングマシン程度の小型機で高圧噴射攪拌(かくはん)工法によって行うため、橋梁(きょうりょう)の下など限られたスペースでも実施できるというメリットがある。また、フーチングの拡幅なども伴わないため、敷地制限を懸念する必要も無いという。

 国内では近年、度重なる自然災害で、設計地震動の見直しなどによる杭補強の必要性が高まっているが、地上構造物に比べ、地下の補強工事は進んでおらず、早急な耐震補強が望まれている。

 その点、新工法は、コスト縮減や工期短縮、工事の小規模化が可能になるため、橋脚に対して有効な耐震補強工法となることが期待されている。

 東京都水道局が発注した綾瀬川水道橋の工事にも導入され、今後は、耐震補強に加え、交通振動など日常生活で発生する揺れも低減する振動抑制効果を訴求していくことで、都市部での導入も見込まれている。

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