安藤ハザマとライフビジネスウェザーは、気象情報から起こりうる労働災害を推測し、電子看板やメールで注意喚起情報を配信する危険予知システムを共同開発した。データに裏付けられた客観的な情報から労働災害の発生可能性を予知することで、広く具体的な視点からの労働災害対策が可能となる。
安藤ハザマとライフビジネスウェザーは2019年10月、一定の気象情報から作業現場で起こりやすい労働災害や作業員の身体への影響を推測し、デジタルサイネージ(電子看板)やメールに注意喚起情報を配信する気象危険予知システムを共同開発した(特許出願中)。
このシステムでは、まず安藤ハザマがストックする過去の労働災害データ(災害発生日時および発生場所など)とライフビジネスウェザーが抽出する気象データ(労働災害発生時から前7日間の現場気象情報)を組み合わせて、労働災害が発生しやすい気象条件のデータベースを構築する。次に、データベースと作業当日の天気予報を照合し、「激突」「墜落・転落」といった起こり得る労働災害のタイプを推測して、現場に配信する。メインとなる労働災害だけでなく、過去の具体例や生気象学から考察した作業員の身体へのリスクも予測し、補足情報として同時配信する。
従来の危険予知活動では、気温や湿度といった単純な気象データから、熱中症などの労働災害対策を講じてきたが、本システムではより詳細な労働災害と気象との関係性に着目し、危険予知に活用するデータを刷新した。「場所」「時間」「災害の型(挟まれ、墜落・転落など11種類)」などの労働災害データと、「気圧」「体感気温」「不快指数」「前日差」「日較差」などの気象データを組み合わせることで、266項目にのぼる組み合わせデータを抽出。これにより、詳細かつ具体的な危険予知が可能だとしている。
安藤ハザマでは、既に本システムを複数の現場で導入。これまで見逃しがちだった潜在的な危険が予知可能となることで、現場監督者がより広い視点で安全作業指示を行えるようになり、作業員も自身に起こりうる労働災害を意識して具体的な行動目標を設定できるようになったという。
今後の展望について両社は、本システムを積極的に展開し、データベースの拡充と性能の向上を図るとともに、今回のような異業種間のデータサイエンス事業を通じて、新しい価値を創造していきたいとしている。
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