新開発のフレキシブルチューブが、大規模地震発生時の揺れによる照明器具の振れ幅を「半径50cm(センチ)以内」に免震。耐震支持材の取付けを不要とし、高天井照明設置時のイニシャルコストを50%削減する。
安藤ハザマと岩崎電気は2018年6月22日、地震時における振れ止めなどの耐震支持材の取付けが不要になる「免震つり下式高天井照明装置」を共同開発したと発表。高天井照明の導入コストを50%削減可能にした。
これまで、工場や倉庫に代表される高天井施設では、照明器具のつり長も長くなりがちで、地震に対する安全策として耐震支持材が必要となり、大きなコストと労力を費やす点が課題とされてきた。
今回発表された装置は、従来のように鉄パイプやチェーンをつり材に使用するのではなく、新たに減衰機能のあるフレキシブルチューブを採用することで、地震時の振れ幅を抑制。同チューブは、スチールにクロムめっき仕上げを施したもので、蛇腹(じゃばら)の構造になっている。
この装置によって、レースウェイや振れ止め金具などの耐震支持材の取付けが不要となり、設置時のイニシャルコストは50%削減できる。また、大幅な軽量化にもつながるため、建築物への負担軽減や工事時の安全性も向上する。さらに、装置周辺の見た目が煩雑になることも無い。
振動台実験では、阪神・淡路大震災と東日本大震災の地震波に対する免震性能を検証した。結果、照明器具の振れ幅は「半径50cm以内」に収まり、装置の破損や落下等も無いことが確認された。照明器具の大きな揺れで生じる、天井配管・ダクトといった周辺設備への接触による損傷も防げるという。
同装置のつり長は、1、1.5、2、2.5、3m(メートル)の5種類を用意。安藤ハザマによると、つり長3mであれば大半の天井高に対応可能であるものの、3m以上の生産や性能のシミュレーション検証にも応じるとしている。
同社では今後、大規模生産施設、公共施設、医療施設、物流施設へ広く展開し、それぞれのニーズに適したスペックの設計から施工までを提供。既存設備にも、安全性の検証と更新の提案を行う予定。
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