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» 2020年02月05日 09時00分 公開

汚染土壌・地下水浄化技術:下水汚泥焼却灰から肥料用リンを抽出する新技術、残渣は建設資材原料に活用可能

国土交通省の資料によれば、下水道普及率の増加に伴い、発生汚泥量は近年増加傾向にある。2003年度の産業廃棄物の発生量に占める下水汚泥の割合は18%になったという。こういった状況の中、西松建設は新潟大学とともに、高い採算性で下水汚泥焼却灰から肥料用リンを抽出する技術を開発した。

[BUILT]

 西松建設は2020年1月23日、新潟大学 工学部の金煕濬(キムヒジュン)教授と共同で、下水汚泥焼却灰から肥料に利用できるリンを高効率で回収する技術を開発したことを発表した。

98%以上のリン回収率

 この技術は、酸とアルカリの2段階溶出を行うことで、従来技術より高い98%以上の回収率で汚泥灰からリンを集められ、全体の約8割がリン系肥料(リン酸カルシウム)として使える。

新技術のリン循環型社会における役割 出典:西松建設

 二段階溶出によって、集積したリンと溶出後の残渣からカドミウムやヒ素などの重金属を分離除去できるため、高品質のリン系肥料が得られるとともに、残渣も建設資材原料やセメント原料などの用途で使用可能だ。

圃場実験場(新潟大学敷地内) 出典:西松建設

 新技術で取得したリン系肥料は、新潟大学における圃場(ほじょう)実験で、施肥(しひ)を実施し、市販のリン肥料と比較した結果、同等の効果が確認されたという。

従来技術(左)と新技術(右)におけるリン系肥料の回収率比較 出典:西松建設

 新技術開発の背景には、日本が国内利用するリンのがほぼ全てを海外からの輸入に依存しており、リンの国内自給化は日本の大きな課題の1つになっていたことがある。

 一方、国内の下水処理場で発生する下水汚泥焼却灰には、リン鉱石と同程度の濃度でリン成分が含有されており、この潜在的なリン資源を抽出することが、リンの国内自給化につながることが判明していた。しかし、従来技術は低回収率や高い残渣処分費、残渣が重金属を内包していることが問題だった。

 今後、西松建設は新技術の実用化に向けて、現状1キロの量でテストをしているが、スケールアップした実証実験を計画した上で実施し、新技術のさらなる改善を進めていく。下水汚泥灰の有効活用によるリン循環型社会構築に資する技術の1つとして、自治体などの関係機関にも技術提案をしていく。

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