五洋建設「土壌再利用センター」に導入された管理システム、ETC車載器だけでダンプを識別現場管理(1/3 ページ)

五洋建設の汚染土壌を中間処理する市川土壌再利用センターでは、トラックと作業員の入退場を管理する2つの入退場管理システムを運用している。

» 2019年10月25日 09時04分 公開
[石原忍BUILT]

 国土交通省 関東地方整備局が主催する第14期 建設技術展示館 技術講習会シリーズ(第21回)「建設現場の車両および作業員の入退場管理システム についての現場見学会」が2018年10月11日、千葉・市川市千鳥町の「市川土壌再利用センター」で開催された。

 現場見学会は、関東地方整備局 関東技術事務所の構内にある「建設技術展示館(千葉県松戸市五香西6-12-1)」に、常設展示されている建設技術の導入現場を体験し、理解を深めるという趣旨で定期的に行われている。21回目となる今回は、車両と作業員を対象にした入退場管理システムが採用された五洋建設の市川土壌再利用センターで、土木技術者らが視察した。

ETCカード無しの車載器だけで、受け入れトラックを識別

古野電気の運行管理システムが採用された市川土壌再利用センターのトラックスケール。積載物を車両ごとに重量測定できる

 市川土壌再利用センターは、建設現場などで発生した土壌や汚染土を再利用するための処理を行っている施設。搬入してくるトラックが、どのくらいの土量を持ち込んだかを日々把握する必要があり、従来はトラックの到着時に予約情報と照らし合わせ、車両を識別して計量し、結果を帳票にまとめるまで、すべて紙ベースで行っていたため、煩雑で手間がかかり、管理が行き届いていない部分もあった。

五洋建設・安藤満氏

 五洋建設 土木部門 環境事業部 専門部長・安藤満氏は、導入経緯について、「センターでは、東京・千葉を中心に多いときで1日に150台ほどを受け入れているため、敷地内のセキュリティと業務の効率化は喫緊の課題だった。運転手に渡すスマートフォンで管理することも試みたが、ダンプは毎日違う現場を移動するため、端末の管理に苦慮した。RFIDも検討はしたが、トラックに装備するコストがネックとなった。そんな折、ETCカードが不要で、ETC車載器があるだけで、運行管理システムを構築できる古野電気の技術を知った。ETC車載器であればほとんどの車に装着されているため、コストがかなり抑えられることが決め手となり導入を決めた」と説明した。

 センターで運用しているシステムは、トラックに備え付けられているETC車載器と、DSRC(Dedicated Short Range Communications)アンテナ「FA-2」、車両重量を測るトラックスケール、管理事務所でモニタリングするPCで構成され、入場予約から、ダンプの自動識別、土壌重量の計測、場内の案内までが一元化されている。

トラックスケール横の管理事務所で受け入れ車両を識別し、重量を計測
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