VR/ARが描くモノづくりのミライ 特集

建機の自動運転技術開発スピードを加速するVR活用術FORUM8デザイン フェスティバル2019(2/3 ページ)

» 2020年01月21日 10時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

障害物を自動で回避

 セミナー中盤では、クローラーダンプと振動ローラーの自動運転技術開発におけるUC-win/Roadの活用事例が紹介された。クローラーダンプの事例については、大成建設では、自動運転技術開発に伴い、産業機械メーカーの諸岡とアライアンスを結んでいる。

 クローラーダンプは土砂を運搬する建設機械で、走行部がキャタピラーになっており、悪路の走破にも応じる。ワークフローには、バックホウなどの積み込み機に接近することや土砂を積載し任意の地点まで運ばせること、排土することがある。このうち、大成建設では土砂を積載させた状態で、特定のエリアまで運搬させる作業の自動運転化、いわゆる自動走行に注力しているという。

クローラーダンプの自動運転の概要

 「自動走行させるためには、システム上にルートを作成しなければならない。複数の座標をシステムに入力し、その座標をなぞるように走らせるのが一般的だ。だが、大成建設では、オペレーターが一度規定の経路を走行させることで、2回目以降はその記録に従って進む技術を採用している」(青木氏)。

フロントに取り付けた16ラインLiDARで障害物を回避する仕組み

 また、「現在、不意に現れる障害物を回避するル−トを自動生成するシステムの構築を進めている。クローラーダンプのフロントに取り付けた16ラインLiDARで、前方および周辺地形を検知し、走行路上に、障害物がある場合は、回避ルートを生成するか、停止する仕組みを作り上げている。現状、装着した16ラインLiDARは20メートル先まで読み取れる。大成建設では、UC-win/Road上のクローラーダンプを模した3Dモデルに、実機のサイズや特性を入力し、障害物に対して回避させることで、稼働状況を細かく調べ、実証実験でのリスクを下げている。モデルや地形のデザインは、使用するダンプクローラーの画像やCADデータをFORUM8に提供し、作ってもらった」と付け加えた。

UC-win/Road上の3Dモデルに実機のサイズなどを入力しシミュレーションを実施

 大成建設では実機による自動走行の検証も実施している。結果は、約20センチの走行誤差で、3つのルートを走破したという。また、この検証では、クローラーダンプにGPSを取り付け、毎秒1回PCにGPSデータを送り、UC-win/Road上で、リアルタイムに状況をモニタリングできるかも確かめている。

UC-win/Road上で、リアルタイムに状況をモニタリング
クローラーダンプの実機を用いた実証試験の結果

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