切羽地質情報取得システムは、専用の計測車両や計測機器、中央制御室などをネットワークで結び、データ取得からデータ処理までの一連の作業を自動化している。専用の計測車両には、マルチスペクトルカメラとステレオカメラ、ハロゲン照明、制御PCなどのデバイスを搭載。
取得したデータは制御PCで演算処理され、処理結果が、即座にタブレット端末に転送される。処理結果はネットワークを通じて、坑内に設置した中央制御室や現場事務所、本社・支店にも共有される。
これまでの切羽観察は、トンネル掘削作業の合間を縫って短時間で行われる現場職員の目視観察による評価が中心で、精度や定量化に課題があった。さらに、正確に切羽観察を行うためには、ハンマー打撃による切羽岩盤の硬さの確認や割れ目にクリノメータ を当てて走向傾斜を確認するなど、切羽直下で作業をする必要があり安全面に問題があった。
切羽地質情報取得システムを用いることで、観察者による評価のばらつきが無くなり、時間をかけずに高い精度で定量的な査定が進められるようになった。同時に、切羽直下への立ち入りが不要になり安全性が高まった。
現在、新システムは、2つの現場で運用しており、今後、順次、新規トンネル工事に導入していくという。導入先での運用結果をもとにアルゴリズムの改良を行い、評価精度をさらに向上し、山岳トンネル工事の生産性を高めていく考えだ。
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