安藤ハザマは、ICT技術により山岳トンネル工事の生産性を高める取り組みとして、統合型掘削管理システムの開発を推進している。
安藤ハザマは2019年12月11日、トンネル切羽の地質を自動的にセンシングし、主要な地質情報である岩盤の圧縮強度、風化度合い、割れ目の間隔を定量的に評価する「切羽地質情報取得システム」を開発したことを発表した。
3項目のうち、岩盤の圧縮強度は、ドリルジャンボの穿孔(せんこう)データ(穿孔速度、打撃圧、回転圧、フィード圧)を基に算出する。このアルゴリズムは北海道大学 長谷山美紀教授の指導を受け開発されたという。具体的には、マシンガイダンス機能付きのドリルジャンボによって得られた穿孔データと、トンネル内にある穴の圧縮強度との関係を教師データとして、AIで回帰分析することで、岩盤の圧縮強度を導き出す。結果は圧縮強度分布図で出力される。
一方、岩盤の風化度合いは、切羽のマルチスペクトル画像から割り出される。この手法には筑波大学 澁谷長史助教授の指南を仰(あお)ぎ開発されたアルゴリズムを採用。マルチスペクトル画像から抽出されるスペクトル反射率曲線が岩盤の風化度によって異なることに着目し、AIがスペクトル反射率曲線と風化関係を学習することで、マルチスペクトル画像から風化度を弾き出す仕組みだ。結果は風化度分布図としてアウトプットされる。
地盤における割れ目の間隔は、ステレオカメラで撮影した画像から切羽面の3次元形状を抽出し、形状の変化点を割れ目として可視化することで特定する。結果は割れ目分布図として出力される。
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