トピー工業は、物流や建設現場の運搬作業を効率化するクローラー式搬送支援AGVリモート「セキシュウ・クローラー」を開発した。日本通運のセキシュウ・クローラーを利用したロールボックスパレット搬送作業の実証実験では、労働負荷軽減など、さまざまな課題解決に役立つことが確かめられている。
トピー工業は、「2019国際ロボット展」(会期:2019年12月18〜21日、東京ビッグサイト)に出展し、クローラー式搬送支援AGVリモート「セキシュウ・クローラー」をPRした。
近年、人手不足が顕在化する工場や倉庫で、作業負荷の低減や安全性向上を目的に、重量物搬送で省人化・省力化のニーズが高まっているという。こういった現状を背景に、業界では、AGVなどの自律移動機能を有するロボットを用いて、荷物の搬送業務を自動化させる企業が増加している。だが、多くのAGVが平地での運用を想定して設計されているため、路面の状況によっては使えないことが物流会社を悩ませている。
この問題を解決したのがセキシュウ・クローラー。セキシュウ・クローラーは2019年2月に発売を控える新製品で、クローラー式のため、段差の乗り越えや砂利道といった悪路でも走行する。搭載されたクローラーは前後左右に移動し、狭いスペースでも小回りが利く。運搬方法は、荷物を積んだカゴ車や台車などの下に潜り込ませ、リフターで持ち上げ、任意の地点まで運ぶ。
トピー工業の担当者は、「セキシュウ・クローラーは傾斜5度の坂道を上る他、段差は最大15ミリまで乗り越えられ、建設現場のような厳しい走行条件が見込まれる場所でも、実用性があると考えている」と語った。
操作方法は、専用ジョイスティックを使用する手動操作とNECが開発した自律移動ロボット集中管制システム「NEC マルチロボットコントローラー」を活用した自動走行の2種類。NEC マルチロボットコントローラーは2020年2月にリリースを予定している製品で、複数台や用途の異なるAGVを同じシステム上で、集中制御するため、利便性はもちろん、各機の接触事故を防げ、安全性も確保する。システムをダウンロードしたPCとロボットを通信することで、それぞれの機体をコントロールする。
機能には、PCで目的地を指定し最適な走行経路を自動算出することや一時停止、一方通行などの走行ルールの設定、現場図面との重畳による走行位置の可視化、稼働状況、充電量といった運行状況のリアルタイム表示がある。現在、システムはセキシュウ・クローラーのみを対象としているが、今後、対応機種を増やしていくという。
セキシュウ・クローラーのサイズは570(幅)×1184(奥行き)×190(高さ)ミリで、重さが130キロ、最大積載量が500キロ(カゴ車、台車、パレットを含む)。通過可能溝幅は最大150ミリ、潜り込み可能高さが195ミリ以上、リフター上昇ストロークが0〜15ミリ。走行速度はモードにより違い、高速が時速2キロ、中速が時速1キロ、低速が時速0.5キロ。容量480ワットのリチウムイオンバッテリーを備えており、稼働時間は2〜4時間で、レーザーセンサーを前後に1台ずつ装着している。
既に、セキシュウ・クローラーは、機能性などが評価され、日本通運の物流現場に導入されることが決定している。
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