人手不足の問題や人件費の高騰、進まないスムーズな配送体制の構築といった日本の物流業界の成長を妨げる障壁の解消を目的に、GreyOrangeは、自動搬送ロボット「Butler」の販売代理店にオークラ輸送機を2019年5月に迎え、拡販体制を強化した。
インドに本社を構えるGreyOrangeは2019年9月26日、都内で、事業戦略説明会を開催した。国内外の物流市場の動向を踏まえ、自動搬送ロボット「Butler」の販売代理店にオークラ輸送機が加わった新たな販売戦略を紹介した。
事業戦略説明会では、GreyOrange シニアバイスプレジデント兼COOのジェフ・キャッシュマン氏が、日本と世界における物流市場の動向を説明した。
日本物流団体連合会と国連の資料によれば、日本の物流市場は、GDPの5%を占める25兆円規模で、業界に従事する労働者は国内における全就業者数の3%となる213万人。通関手続き、貿易・配達関連のインフラ、サービスの容易性や品質などに基づく指標である「物流パフォーマンス指数」は世界5位。
現地企業が参入しやすく運営に配慮した状況を表す「ビジネス環境指数」は世界34位。電気通信、人材、オンラインサービス設備への投資などをベースにしたランキング「電子政府発展度指数」は世界10位に位置する。
このように、高い物流競争力を持つ一方で、フルフィルメント(ECサイトなどで、顧客が注文してから、配達するまでに発生する全業務)業界では、人材不足と高い人件費、ネットショッピングのサービスとスピードへの高い期待がボトルネックとなっている。
厚生労働省のデータによると、日本の総人口は2060年まで、継続的な減少が予想されている。2018年度の人口は、2015年度比0.62%減の1億2718万5332人で、年齢層の割合は、0〜14歳が12.84%、15〜24歳が9.64%、25〜54歳が37.50%、55〜64歳が12.15%、65歳以上が7.87%。
また、2000〜2017年の間に日本の就業人口は約100万人減った上、最低賃金の一定的な上昇により物流コストも増加傾向を示している。
現在、日本は世界第3位のeコマース市場を形成しているが、サービスに対する期待値は世界最高レベルだという。アメリカン・エキスプレス・インターナショナルの調査によれば、「1度でも質の悪いサービスを受けたら、他社に乗り換える」という質問に対して、「はい」と回答した割合が50%を超えており、イギリス、アメリカ、カナダの結果を上回る数値となった。
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