近年は、アスファルト・コンクリート再生骨材の用途が変化してきているという。藪氏は、「再生骨材は、1995〜2000年の間は、再生砕石として再利用されることが多かったが、2005年以降からは、アスファルト舗装の材料に再使用されることが主流になっている」と語った。
さらに、「日本アスファルト合材協会の資料によれば、1976〜1979年までは、再生材料を使わず、新規のアスファルト・コンクリートのみを用いる舗装が当たり前だったが、現在では、再生骨材を利用したアスファルト・コンクリートで舗設することが多い」と補足した。
アスファルト・コンクリートへの再生骨材の配合率も上昇の一途をたどっている。日本アスファルト合材協会の資料によれば、2018年時点で、配合率は、関東で60%、全国で50%を記録しており、1994年の値と比較すると、いずれも20%アップしている。
堅調に活用機会を増やすアスファルト・コンクリート再生骨材だが、繰り返し再生による劣化については、調査実績がほとんどなく、不明瞭になっているという。そこで、土木研究所では、リサイクルによるアスファルト・コンクリート再生骨材の性状の変化について研究を開始した。
ストレートアスファルト(60/80)を材料にした再生骨材配合率100%のアスファルトを使い検証を進め、2種類の再生用添加剤「A」「B」を使用し、それぞれの効果も調べた。
手順は、アスファルトの劣化を促進した後、性状を針入度や軟化点、伸度の試験で確かめた。次に、再生用添加剤による再生アスファルトへのリサイクルと性状試験の工程を5回繰り返し、各回の再生アスファルトの状態を確認した。
藪氏は、「針入度試験では再生回数が増えるごとに、アスファルトが柔らかさを失い、針が奥まで入らなくなった。また、劣化するほど、軟化点試験では伸びなくなり、硬化試験では硬くなることが判明した」と説明した。
藪氏は、「加えて、圧裂試験とカンタブロ試験を実施し、再生を繰り返すと、堅く脆(もろ)くなることと、特に、夏場などの高温時により劣化することが分かった」と述べた。
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