ヒューマンタッチ総研は独自に分析した「2019年3月期第3四半期決算から見る建設市場の動向」を公表した。ゼネコンは10社中9社が増収で好調。土木は道路舗装が減収減益だった一方、橋梁(きょうりょう)や法面保護の工事が伸長した。
人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営するヒューマンタッチ総研は、総合工事業(ゼネコン)、土木工事業、電気設備工事業、管工事業の4業種に分けて、2019年3月期第3四半期決算から見る市場動向をまとめた。対象は3月期決算で2018年3月期売上高の上位各10社。
全体の概況としては、2019年3月期の第3四半期決算(連結)の各業種主要10社の実績を合計すると、電気設備工事業と管工事業は増収増益となり、業界全体として好調な決算だった。
ゼネコンは、減益ながら売上高は前年同四半期比106.1%で、手持ち工事の消化は順調に進んでいるとみられる。一方、土木は減収減益となっており、売上高、収益性ともに厳しい決算となった(=図表1)。
ゼネコンは、各社ともに潤沢な手持ち工事を順調に消化して、10社中9社が増収となり、全体として好調な決算(=図表2)。
大林組、清水建設、長谷工コーポレーション、前田建設工業の4社が売上高、利益ともに好調に推移し、増収増益。長谷工コーポレーションと前田建設工業は好調な業績推移を受けて、通期業績予想を売上高、利益ともに上方修正している。
2018年7月に発生した建設現場での大規模火災の影響などから、第2四半期発表時において通期業績予想を売上高、利益ともに大幅に下方修正した安藤ハザマは、第3四半期についても減収減益となった。
戸田建設は、第3四半期の業績動向を踏まえ、売上高、利益ともに通期の業績予想を下方修正している。
土木工事業は、10社中7社が減益となり、収益面で厳しい決算となった(=図表3)。第2四半期に減収減益で、通期の利益予想を下方修正した、道路舗装業界首位のNIPPOは第3四半期についても減収減益の決算が続いている。
業界2位の前田道路も減収減益で、通期業績の予想を売上高、利益ともに下方修正した他、増収減益の東亜道路工業も通期業績予想を売上高、利益ともに下方修正した。第2四半期に売上高、利益ともに下方修正した世紀東急工業は減収減益に転じ、道路舗装業各社は総じて厳しい決算となった。
一方、鋼製橋梁(きょうりょう)、プレストレスト・コンクリート橋梁を主要分野とする川田テクノロジーズは増収増益で、第2四半期に続いて通期の利益予想を上方修正。また、法面保護工事、斜面安定・防災工事、地盤改良工事などを中心に手掛けるライト工業や日特建設も増収増益だった。
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