“空の道”の整備進む、ドローン37台を運行管理システムに相互接続ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト(2/2 ページ)

» 2019年11月05日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]
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UIの改良は必須

 記者発表会では、相互接続試験に名を連ねた一般事業者のワインデング福島、eロボティクス福島、東日本計算センター、名古屋鉄道の担当者が登壇し、コメントを寄せた。

ワインデング福島 代表取締役社長の清信正幸氏

 産業用モーター部品を製造するワインデング福島は農薬を散布するドローンでエントリーした。タブレット端末の簡易操縦による完全自動航行・自動散布を可能にした機体で、イームズロボティクス製ドローン「エアロスプレイヤーAS5」をベースにしている。

 マニュアル操作時には、オートでの離陸と着陸に応じており、農地の起伏に合わせて飛べる機能も有す。

 ワインデング福島 代表取締役社長の清信正幸氏は、「システムの詳細は不明だったが、スタッフはAPI接続し、飛行計画を作れたので、実用性はある。要望としては、機体の仕様登録の簡略化や他のドローンと経路が干渉した場合のエラー、アナウンスを分かりやすくし、履歴から簡易的にプランを変えられるようにしてほしい。また、画面上の最新地図をクリックするだけでドローンを目的地まで運べれば、利用者が拡大するだろう」と助言した。

相互接続試験におけるワインデング福島の取り組み
東日本計算センター 執行役員の中野修三氏

 環境ビジネスを展開するeロボティクス福島とITベンダーの東日本計算センターは、共同で、気象観測用ドローンを用いて、自動制御による隊列飛行を遂行。搭載した各種計測装置で、メソスケール気象などの従来取得が困難だった3次元空間情報を収集するシステムについて研究した。

 東日本計算センター 執行役員の中野修三氏は、「恒常的に、隊列を組んだ最大27台のドローンで測定をしており、他の機種と衝突する可能性を危惧していた。位置情報共有の有用性を測るために参加した」と振り返った。

 感想と要望では、「それぞれのオーナーが、同一空域で特定のルートを予約し、フライトの確認をトランシーバーでやりとりしていた。このクラスの司令塔があれば、災害救助など有事の際にも、混乱なく、多機運用が行えると感じた。一方、今回のような監視者とレーダー、データ処理システムが無い場所での現場利用は課題がある」と語った。

相互接続試験で披露した複数のドローンの隊列飛行
名古屋鉄道 経営戦略部 事業プロジェクト担当 課長の岩田知倫氏

 名古屋鉄道と中日本航空は、NETISに登録されているレーザースキャナーを装着したDJIの「Matrice 210」で、地形計測に取り組んだ。

 自動航行ソフトであらかじめ設定したコースを運行させ、オルソ画像と3次元データを得た。取り付けられたレーザースキャナーは、樹木の生い茂ったエリアでも、その下の地形を調べられ、有事の調査でも役立つという。

 公共測量にも適応しているため、操縦士向け学習サービス「名鉄ドローンアカデミー」の講習でも利用されている。

 名古屋鉄道 経営戦略部 事業プロジェクト担当 課長の岩田知倫氏は、「現時点における運行ドローン管理システムの完成度やユーザーに配慮した設計になっているかを確かめるために、テストに協力した。実用化へ一歩前進したと思う一方、UI(ユーザーインタフェース)はまだ粗削りで、使用ルールも不明確となっているのがボトルネック。国土交通省航空局のDIPS(ドローン情報基盤システム)との2重管理の解消やUTM(統合脅威マネジメント)の体制について議論が必須だ」と説いた。

名古屋鉄道と中日本航空が、相互接続試験でドローンにより取得した3Dデータ(左)とオルソ画像(右)
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