2017年における入職率と離職率を主要産業別に比較すると、建設業は入職率、離職率ともに最も低くなっていることから、従業員の定着率が高く、雇用の流動性が低い業界だと考えられる(図表6)。
小売業は入職率17.1%、離職率17.4%と、どちらも最も高くなっており、従業員の定着率が低く、雇用の流動性が高い業界だといえる。
建設業の入職率、離職率、入職超過率を年齢層別に見ると、入職率は19歳以下が104.0%、20〜24歳が33.2%となり若年層で高くなっている。逆に入職率が最も低いのは55〜59歳の2.0%、次いで50〜54歳の3.5%で、ベテラン層で低くなっている(図表7)。
離職率は、定年退職を迎える65歳以上(20.1%)、60〜64歳(19.1%)が高いが、25〜29歳がそれらに次ぐ11.5%となっている。最も離職率が低いのは55〜59歳の2.2%、その次に50〜54歳の2.4%となった。50〜54歳、55〜59歳は入職率、離職率ともに低く、人材の流動性が低い年齢層だと予測される。
入職超過率(入職率から離職率を引いた値)をみると、60歳以上で大幅な離職超過になっている他に、45〜49歳といった中堅層においても0.3ポイントの離職超過で、世代間でばらつきがある。
雇用動向調査のデータから、建設業では入職者、離職者ともに減少傾向であり、常用労働者数に対する入職者、離職者の比率も低下し、雇用の流動性が低くなっていること、2012年以降は6年連続で入職者が離職者を上回って入職超過になっていることなどが分かった。
また、転職入職者についてみると、厳しい人材不足を背景に転職入職者数は減少しているが、他産業からの転職入職者の比率は上昇しており、建設業各社が他産業の未経験者にまで採用の幅を広げていることが推測される。
ヒューマンタッチ総研(所長:高本和幸)
ヒューマンタッチ総研は、ヒューマンホールディングスの事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営する建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析を行うシンクタンク。独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信を行っている。
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