「労働力調査」データに見る建設技術者を取り巻く雇用環境建設業の人材動向レポート(13)(1/3 ページ)

本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向をレポートする。第13回目となる今回は、総務省統計局の「労働力調査」をベースに、建設技術者を取り巻く雇用環境がどうなっているのかをリサーチした。

» 2019年09月30日 10時00分 公開

 今回の連載では、労働者の就業状態を把握するための主要統計である総務省統計局の「労働力調査」から、建設技術者を取り巻く雇用環境を紹介する。

 「労働力調査」とは、就業者数、雇用者数、完全失業者数、完全失業率、就業率などの状況をとりまとめたものであり、毎月1回調査が行われている。

■就業者数は年々増加し、雇用環境は改善傾向が続く

 就業状態を示す主要指標について見ると、15歳以上の人口が横ばいで推移する中、労働力人口は2013年以降、増加傾向が続いている。労働力人口比率も2011年の59.3%から2018年には61.5%に上昇しており、働くことへの意欲が高まっていることが分かる(図表1)。

 就業者数は2013年の6326万人から毎年増加し、2018年には6664万人(前年度比134万人増)になっている。就業率も2013年の57.0%から上昇が続き、2018年には60.0%に達した。

 一方、完全失業者数は2011年の302万人から減少が続き、2018年には166万人にまで減少、完全失業率も2011年の4.6%から2018年には2.4%にまで低下している。

 このように、企業の人材需要が高まる中、労働者の働く意欲が高まり就業者が増加する好循環が続いており、雇用環境は好調に推移していると考えられる。

【図表1 主要雇用指標の推移】 出典:総務省統計局「労働力調査」より作成

労働力人口:15歳以上で働く意思と能力を持つ者労働力人口比率:15歳以上の人口に占める「労働力人口」の割合就業率:15歳以上の人口に占める「就業者」の割合完全失業者:仕事がなくて仕事をしなかった者のうち、就業が可能でこれを希望し、かつ仕事を探していた者および仕事があればすぐに就ける状態で過去に行った求職活動の結果を待っている者完全失業率:「労働力人口」に占める「完全失業者数」の割合

■55〜64歳のシニア層の就業率が大幅に上昇

 就業率の推移を年齢層別に見ると、どの年齢層でも就業率は上昇しているが、最も大幅に上昇しているのは55〜64歳であり、2011年の64.3%から2018年には75.2%(2011年比+10.9ポイント)に上昇しており、シニア層で働く人が増えていることが分かる。

 次いで、15〜24歳が2011年の38.3%から2018年には45.9%(2011年比+7.6ポイント)に上昇しており、景気回復を背景に企業の新卒採用が活発化していることが分かる(図表2)。

【図表2 年齢層別の就業率の推移】 出典:総務省統計局「労働力調査」より作成
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