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» 2019年04月19日 07時35分 公開

導入事例:超高強度コンクリを“国内初”適用した「酒田みらい橋」と「東京モノレール軌道桁」で竣工後の耐久性を確認

大成建設は、超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を適用した国内初のPC歩道橋と東京モノレール軌道桁で、十年以上が経過した後でも変わらない耐久性能が確認されたことを明らかにした。

[BUILT]

 大成建設は、超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を国内で初めて適用したPC歩道橋「酒田みらい橋」と、モノレール軌道桁「東京モノレール軌道桁」で、竣工してから数十年を経た現在の耐久性を調査した。その結果、UFC構造物の優れた耐久性能が維持されていることが証明された。

UFCは、耐用年数100年以上の極めて高い耐久性を有する

 UFCは、圧縮強度の特性値が150N/mm2(ニュートン毎平方ミリメートル)以上、ひび割れ発生強度の特性値が4N/mm2以上、引張強度の特性値が5N/mm2以上の繊維補強を行ったセメント質複合材。一般のコンクリートの4〜8倍の強度を有し、鋼繊維によって高い靱性も備える。硬化体は緻密で、塩化物イオンの浸透速度は一般のコンクリート(W/C:45%)の1/10〜1/50程度となり、非常に高い耐久性能を保持し、推定式に基づく予測結果などから、設計耐用期間は100年とされている。

 躯体には鉄筋が不要なため、部材厚10センチなど極めて薄い部材の設計が可能で、従来のコンクリート構造物に比べ、30〜50%もの大幅な軽量化が可能となる。制約の多い橋梁(きょうりょう)や床版の構築工事に、UFCを活用することで、これまでは不可能だったスパンや低桁高が実現する。

 大成建設では、定期的にUFCを適用した構造物の経年調査を行っており、耐久性能を実証している。今回は、発注者らと共同で、酒田みらい橋と東京モノレール軌道桁で経年調査を実施した。

「酒田みらい橋」 提供:大成建設

 酒田みらい橋は、2002年に国内で初めて、大成建設がUFCを適用したPC歩道橋。同年10月から供用を開始し、2017年8月には供用15年の調査を行った。架橋場所は、山形県酒田市最上川の河口から約2キロの位置で、満潮時における海水の逆流や日本海側からの飛来塩分を含んだ季節風が吹き付けるなど、塩害を常に受ける厳しい環境下にある。

 橋の架け替え時には、従来のコンクリート橋ではコンクリ内部の鉄筋腐食を防ぐため、部材のかぶりを大きくする必要があり、構造物断面を大きく、部材重量も重くなり、橋を支える橋脚の設置が必須とされていた。しかし、UFCを適用したことで、自重が低減され、橋脚が不要な単径間構造へと変更することが可能となった。なお、酒田みらい橋は、土木学会賞の田中賞(作品部門)を受賞している。

「東京モノレール軌道桁」 提供:大成建設

 一方の東京モノレール軌道桁は、2007年にUFCを適用したモノレール軌道桁。昭和島駅上り待避線(2基)と車庫線(1基)に設置されている。2007年7月に供用を始め、2018年3月には供用10年の調査を実施。従来の軌道桁は、桁長20メートルのプレストコンクリート桁を標準としていたが、道路横断部では20メートル以上の長大スパン桁が必要だったため、桁重量を低減でき、製作精度の向上が見込めるUFCを採用し、最大で桁長40メートルの軌道桁を構築した。

 今回の調査では、外観の目視点検で、変状やさびの進展などが生じていないことが分かった。構造物の固有振動数では、建設当時と変化無しで、ひび割れの発生や導入プレストレスの減少、支承部の損傷などの劣化に起因する剛性低下が生じていないことも確認された。

 大成建設では、これからも経年調査を継続していき、長期に渡る耐久性能に関するデータを蓄積しつつ、UFCのさらなる技術開発に生かし、さまざまな構造物への展開を進めていくとしている。

耐久性能比較 提供:大成建設

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