2019年度の方針は、前年度の実証事業を踏まえ、地方公共団体と協力し、歩行空間ネットワークデータが、防災・観光・道路管理などの分野での有効活用を検討する。
その一環として2019年6月下旬〜8月上旬に、バリアフリー調査の実績を有すか、または、今後バリアフリー調査などを計画している市区町村、社会福祉協議会、観光協会などを対象に公募を募り、観光マップ、防災マップ整備に関する既存施策と連携し、歩行空間ネットワークデータの整備と利活用の検証を進めた。
歩行空間ネットワークデータを利用する想定例としては、道路管理では、歩行空間上に存在する段差などを定量的に把握することで、道路修繕のための工事計画策定などに役立てることを挙げた。また、防災分野では、避難所と、歩道上にある段差などの位置関係を基に、通行しやすい避難ルートの事前確認に使えることを提案した。
また、過年度の実施団体の神奈川県川崎市、大阪府大東市へのフォローアップ調査を行い、空間ネットワークデータの利活用状況、データの維持・更新、利用促進に関連する取り組み、課題についても確認した。
現在までのフォローアップ調査で、川崎市では、2018年度に整備したJR「川崎」駅周辺の歩行空間ネットワークデータを川崎市のWebGISサイト「ガイドマップかわさき(バリアフリーマップ)」に掲載することと、歩行空間ネットワークデータの整備エリアを新百合ヶ丘駅、武蔵小杉駅周辺にも拡大を予定していることが明らかになっている。
一方の大東市では、2018年度に整備した住道駅周辺の歩行空間ネットワークデータを活用し、JR「住道」駅周辺・市役所周辺のバリアフリーマップに歩行空間の情報を追加している。大東市のHPにもオープンデータとして歩行空間ネットワークデータを掲載し、バリアフリーマップ整備の進め方として、市内のバリアフリーマップを整備している民間団体および地元の大学との産官学連携による実施体制を模索しているという。
この他、委員会では今後、既存のWebサービスの評価手法を参考に、歩行者移動支援サービスの実態などを踏まえ、実効性の高い評価手法を検討していく。
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