耐久性を10倍高めた制振ダンパーを開発、「Aichi Sky Expo」に16本を初適用制振(2/2 ページ)

» 2019年09月04日 10時29分 公開
[石原忍BUILT]
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南海トラフ地震の震源エリアに位置する

 実物件への適用にあたり、竹中工務店は合金と鋼材との溶接接合部も含めたブレース型制振ダンパーを設計し、制振ダンパーの実大実験による性能評価も行った。その結果、合金の耐疲労性能を生かした良好な性能が得られ、十分な制振性能の余裕度が得られることが設計段階で確認された。耐疲労合金と異材接合用の溶接材料のいずれも、指定建築材料に関する国土交通大臣認定を取得している。

愛知県国際展示場 提供:竹中工務店

 制振ダンパーを採用した愛知県国際展示場の西棟は、100×100メートルの無柱空間の展示ホール、会議室を有する施設で、大きな重量を100メートルの大スパンで支持する特殊構造架構となっている。建設地は、南海トラフ地震で想定される震源に近いエリアのため、余震も含めた多数回の大振幅・長時間の地震動を受ける可能性を考慮し、地震後の事業継続性を維持するため、耐震性能余裕度を大幅に向上させる必要があったという。

 そのため、大スパン鉄骨造建物の構造上重要な外周部に配置される制振ダンパーとして、円形鋼管と充てんモルタルで、座屈拘束するブレース心材にFe-Mn-Si系耐疲労合金を使用(部材長約6メートル、最大分担荷重約2000キロニュートン)した本制振ダンパーを、4隅に2本づつ計16本導入した。

西棟展示ホールにおけるダンパー適用箇所 提供:竹中工務店
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