パスコが航空機搭載型レーザー計測機「Terrain Mapper」を運用開始。細密な森林資源情報の把握により適切な森林管理への寄与が期待できる。
パスコは2019年8月から、日本初導入となる最新の航空機搭載型レーザー計測機「Terrain Mapper」の運用を開始した。高精度なレーザー計測技術によって詳細な森林資源情報を効率的に把握できるため、適切な森林管理への寄与が期待できる。
森林資源の計測においては、森林表層面の情報だけでなく、地表面から得られる情報も欠かせない。樹木に隠れた道路や構造物、地形情報などを詳細に取得することで、森林管理に必要な細密な3次元地形情報を得ることができる。
従来機器と比べると最大レーザー照射数で4倍、最大取得リターン数で約3.8倍の性能を有するTerrain Mapperの導入・運用によって、従来機よりも計測飛行時間を30〜50%短縮しつつ、4倍の高密度で3次元座標情報を計測できる。森林表層面の3次元点群データ、同データに基づく山林の断面図、道路や構造物などを捉えた3次元地形図などの作成が容易になるため、細密な3次元地形情報に基づく精度の高い森林資源情報が効率よく把握でき、森林資源の適正管理に寄与する。
国内の林業では、高度経済成長期に植栽した人工林が利用可能時期を迎える一方、所有の小規模化や分散化による不適切な管理が問題となっている。林業の成長産業化と森林の適正管理の両立を図るには、林業経営に適した森林に経営と管理を集約するゾーニングが不可欠であり、そのためには森林資源情報や森林境界情報などの把握が急務となる。
パスコの森林関連事業はこのゾーニングにフォーカスしている。森林資源情報や災害危険箇所の判定解析を行う「森林解析」、地籍調査未実施の森林を対象とする「森林境界明確化」、自治体と林業事業体の情報共有を促進する「森林クラウド」、森林所有者に対して森林集積や配分計画のコンサルティングを行う「意向調査」などの業務を行っており、今回のTerrain Mapperの導入および運用は森林解析業務を推進するものだ。
パスコは今後、森林分野以外にもTerrainMapperの高精度な3次元地形図作成を活用していくとしている。具体的には、国土強靭化計画に掲げられている河川管理の高度化、道路防災対策の検討による道路沿いの斜面災害リスクの抽出、山地の崩壊状況の把握や砂防堰堤の設置計画、土砂移動モニタリングによる土砂対策への対応などを想定している。
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