「所有者不明土地」の利活用など調査・測量から環境アセスまでワンストップで提供、パスコと東電用地が提携空き地・空き家対策

パスコと東電用地は2019年1月31日、公共事業の用地確保、土地所有者の調査や補償コンサルタントをワンストップで提供する目的で業務提携した。測量業務で行政支援の実績が豊富にあるパスコと、土地取得や管理のノウハウを持つ東電用地が協業することで、全国で問題となっている所有者不明土地の利活用を大幅に後押しすることが期待される。

» 2019年02月05日 08時00分 公開
[石原忍BUILT]

 パスコと東電用地は、両社が保有する技術やノウハウを融合して、公共事業における用地の確保、土地所有者の調査や補償コンサルタントなどの業務をワンストップで提供するため、2019年1月31日業務提携に合意した。

公共事業の用地関連業務を全面的に支援

東電用地 代表取締役社長・倉上晃氏(左)、パスコ 代表取締役社長・島村秀樹氏(右) 提供:パスコ

 背景には、人口減少や高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下や地方から都市部への人口流入を受け、不動産登記簿の公簿情報で、調査してもなお所有者が判明しない、または連絡がつかない「所有者不明土地」が全国で増加していることがある。

 所有者不明土地の利用を円滑化する特別措置などの法整備は進んでいるが、公共事業を推進する地方自治体では、用地の確保、土地所有者の判明調査、補償コンサルタントなどの業務が増大することが見込まれる。今回の業務提携は、こうした課題を見越したもので、調査・測量から、環境アセスメント(環境影響評価)や補償コンサルタントまでをワンストップでサポートし、行政による所有者不明土地の利用をバックアップする。

 パスコは現在、測量・計測技術に主軸を置き、都市計画基本図などの図化、道路や上下水道などのインフラ維持・管理、森林や農地管理、固定資産税の基礎調査などの各種台帳整備、防災・減災に関わる計画立案など、多岐にわたる業務を管理システムの構築も含めて、地方自治体に行っている。

 東電用地は、東京電力パワーグリッドの子会社としてこれまで、電力事業設備用地に関する取得・管理業務を通じて、地域・地権者との合意形成を図ってきた。近年では、用地買収・権利取得・損失補償の経験を生かし、公共・公益事業の用地補償サービスを展開し、インフラ整備の基盤構築を支援している。

 両社は、長年にわたり蓄積してきた双方の実績とノウハウを融合することで、地方自治体や民間事業者に、円滑な事業実施を支援する用地関連サービスを一貫して提供する体制が整ったとしている。

 実際の支援業務では、パスコは森林や農地管理、コンパクトシティー化に向けた道路整備事業、都市の再編などを中心に、測量(境界確定含む)、調査、計画、環境アセスメントなどを担う。東電用地は、用地取得など、所有者の調査・探索、地域・地権者との合意形成などの各種補償コンサル業務全般を担当する。

 両社の強みを合わせた協業で、公共事業における測量・調査・計画から、用地の確保、土地所有者の調査や補償コンサルまでをトータルで提供していく。

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