西松建設とパスコは、盛土法面の出来形計測に車両搭載型のレーザー計測システムを導入。±5cm以内の計測精度を実現するとともに、ドローンを利用した空中写真測量と比較して、計測にかかる作業時間を2分の1以下に短縮できたという。
西松建設とパスコは、盛土法面の出来形計測に車両搭載型のレーザー計測システム(MMS:Mobile Mapping System)を導入し、有効性を確認したと発表した。±5cm以内の計測精度とともに、植生に覆われた地形の3Dモデル化も実現した。加えて、ドローンを利用した空中写真測量と比較して、計測にかかる時間を2分の1以下に短縮できたという。
実証導入を行ったのは、茨城県内の圏央道大生郷地区改良工事の現場。道路工の盛土1150m区間で、路床施工完了時の出来形計測にMMSを利用した。同時にドローンを活用した空中写真測量も実施し、計測成果の比較を行った。
MMSでの計測は、車両に搭載するレーザー計測器を昇降式にカスタマイズ。リフトアップさせて地上3.6mの高さからレーザーを照射し、対象エリアの3D座標データを計測した。ドローンによる撮影では、対地高度57m、オーバーラップ90%、サイドラップ65%、地上画素寸法(地上解像度)1cmで空中写真測量を実施した。
現在、道路工事完了検査時の出来形計測においては、ドローンを活用した空中写真測量や地上据置型のレーザー計測器による地形の3Dモデル化が利用されている。しかし、植生工後に草が伸びる法面では、植生に覆われる地形の3Dモデル化に課題が残っていた。
MMSでの計測精度は、電子基準点を用いるなどの工夫を図った結果、出来形計測における要求精度の±5cm以内に収まることを検証。また、ドローン測量の場合、植生密度が高い場所では、草の先端部を計測してしまうのに対し、MMSでは多くのレーザーが地面まで届いているため、フィルタリングによって地表面のデータも問題なく取得できることを確認できた。
さらに現場での作業時間はドローンによる空中写真測量が約1時間半だったのに対し、MMSを利用した計測は約40分と大幅に短縮することにも成功。作業の効率化に効果があることに加え、ドローンのように風などの天候に左右されずに計測を行えるメリットも確認できたとしている。
今後は今回の検証結果をもとに、さまざまな現場での適用試験を実施し、道路工事現場さらなる生産性の向上に役立てていく方針だ。
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