積水ハウスの全工程“一気通貫”CADプラットフォーム、業務別200以上のアプリを開発 : IT業務部の挑戦! (4/4 ページ)
――今後の構想
上田 現状の設計業務は、かなり負荷が掛かっているので、負担を減らすことが急務だ。社内調査したところ、15年前と5年前で、1人の設計担当者が1棟の住宅で書く図面は2倍になっていることが判明した。住宅性能評価や住宅補助金関係の申請が増加していることと、図面の提出先が煩雑になっていることが紙の量を増やしている要因だ。
IT業務部部長の上田和巳氏
住宅設計のプロセスは、まず顧客からヒアリングして、計画設計(プランニング)、実施図面の作成を行う。大抵の設計者はプランニングを自分でやりたがるが、そこから細かい実施図面は、苦痛な作業と感じることが多いという声をよく聞く。その部分は、過去の設計のログを取り、AIやRPAの導入でデータ分析にかけて、自動化できるのではと期待をしている。
前段のプランニングの部分では、住宅は大まかに2種類に分けられ、一つは地方などで顧客の要望をそのまま聞いて作ると似たようなプランになりがちなケース。一方で首都圏や都市部では、法令の規制や土地の形状などで、1棟1棟異なる計画になる傾向が強い。平均的なプランであれば、ミスが無く、コストも適正な図面が求められるため、ITとの相性が良く自動化も考えられるのではないか。
また、これまで意匠性の高い設計は、感性の領域だったこともあり、ITは関与しなかった。社内外で高い評価を受けた設計者には「チーフアーキテクト」の肩書が与えられているが、彼らが手掛けた過去の作品から、どこが他の平均的な設計者の図面と違うのかをいま解析にかけている。類似した案件を受注した際に、提案内容のヒントに生かすことで、まだ経験の浅い設計者のスキルアップにもつなげられるのではないかと次の構想をしている。
“脱LDK”を目指した柱や間仕切りの無い積水ハウスの鉄骨住宅「イズ・ロイエ ファミリースイート」
積水ハウスは、脱LDK(リビング、ダイニング、キッチン)を掲げた鉄骨住宅「IS ROY+E Family Suite(イズ・ロイエ ファミリースイート)」を2018年10月3日に発売した。ファミリースイートは、最大7m(メートル)のスパンを実現する高強度梁(はり)「ダイナミックビーム」を採用。仕切りのない、自由なレイアウトが可能な大空間リビングで、日々の暮らしが豊かになる居住空間を創出する。
シロアリ対策にロボット活用、積水ハウスが実戦投入
積水ハウスは賃貸就業住宅のシロアリ対策にロボットを導入する。床下に薬剤を散布する処理を、遠隔からロボットで行えるようにする。立ち会いなど住民の負担も減る他、従来の作業者が床下に入る方法よりコストを1割削減できるメリットもあるという。
積水ハウス×KDDI×日立が協創、初弾の実証では“ブロックチェーン”で賃貸契約の本人確認を一元化
積水ハウス、KDDI、日立製作所の3社は、企業が持つ独自情報を安全性の高い環境で共有し、異業種データの掛け合わせによる新サービスを創出する目的で、「企業間情報連携基盤」の実現に向けた協創を開始した。初弾として2019年4月から、賃貸住宅に関する手続きをイーサリアムブロックチェーン「Quorum(クォーラム)」上で行う。これまでの賃貸契約の様に、各種手続きでその都度、個人認証をする必要が無くなり、一括して行えることで借り主側に利便性がもたらされる。
新築営業の8割で利用、積水ハウスが提案する“ヴァーチャル住まいづくり”
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