インタビュー
» 2019年06月26日 06時22分 公開

積水ハウスの全工程“一気通貫”CADプラットフォーム、業務別200以上のアプリを開発IT業務部の挑戦!(2/4 ページ)

[石原忍,BUILT]

「家モデル」を作成するシステムとしての位置付け

上田 2000年代は不景気に足を踏み入れていた時代で、コストダウンを図って事業を再建することが先決となっていた。その後、固定化からの脱却を図り、CADだけに限らず、全社の業務システムを再構築したのが2011年。

 その際、全社で使っているコアとなる家に関するさまざまなデータ“家情報”の在り方を見直し、個別に部門ごとではなく全体を一気に再構築することになった。こういう場合、普通であれば企画部門が担当するが、これをIT部門が主導したことで、経営と現場の意見を勘案し、両社をシームレスにつなぐ真に有効なIT構築が可能になった。

コア情報の一元化による「業務とITシステムの再構築」の全社最適化

――CADシステムの刷新

上田 核となる“家情報”をどう扱うかと思案した際に、CADシステムをエントリーの設計部分だけで使うのではなく、BIM(Building Information Modeling)に近い全工程で共有して活用するCADのプラットフォーム「邸情報データベース」を目指した。

 当社のCADシステムはかつて、3つの設計部と情報システム部の合計4部門でバラバラに運用されていた。1990年代にPCの普及に伴い、2000年からはCADオペレータだけではなく、全国で現場の設計担当者が使い始めたことで、CAD/AESセンター(当時)が徐々にこれを統合して、2006年には現行の日本ユニシス製3D-CADソフト「DigiD(デジド)」をベースに独自のCADを開発し、全社統一を図った。

かつての積水ハウスのCADシステム

上田 その頃は、オブジェクト指向のCADはDigiDだけだった。2次元に対して奥行きや高さを持っているいわば2.5次元。独自開発に当たって他のCADと差別化したのが、線を引いて図面を描くものではなく、BIMの様に建物モデルと部材など多様な情報が紐(ひも)づけられ、家モデル専用のシステムとしてカスタマイズされていることだ。

 フローとしては、施主のヒアリングを翻訳して、起点となる家モデルのデータをCADで作成。実施図面をインプットすることで、さまざまな形で利用できる家モデルデータがサーバ上で共有される。モデルとしてのCADデータに、仕様・座標のXMLデータ、写真工事管理のRDBの構造データが統合されている。

 データが一元化されたことにより、1つの家モデルから、その都度に必要な形式でアウトプットできる自由度が高まった。ユーザーへの提案で3D、CG、VRの他に、施工図面として現場作業員のiPadに表示したり、部材データを工場で利用したりするなど、家づくりにまつわる各工程で利用している。今後は、住宅モデルルームでのVR/ARの活用やAI技術の発展を受け、客先で聞いた要望をその場で即反映できるようにするなど、ユーザーへのインプット/アウトプット機能の強化に取り組んでいく。

邸情報プロジェクト以降の積水ハウスのCADシステム

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