竹中工務店が、2019年日本建築学会賞の「日本建築学会賞(技術)」「日本建築学会作品選集新人賞」を受賞。
2019年日本建築学会賞において、竹中工務店が「日本建築学会賞(技術)」および「日本建築学会作品選集新人賞」の2部門で受賞した。
日本建築学会賞(技術)を受賞したのは、同社の辻大二郎氏(技術本部 技術プロデュース部 技術開発推進グループ 副部長)と河野貴穂氏(技術本部 技術研究所 地盤・基礎部地下工法グループ グループ長)。受賞作品の「低炭素と高品質を両立した高炉スラグコンクリートおよび地盤改良体の開発と展開」は、同社が開発に参画したECM(エネルギー・CO2ミニマム)コンクリートと地盤改良ECMソイルを使った一連のプロジェクトを指す。
ECMコンクリートは、原料となるセメントの6〜7割に高炉スラグの微粉末を使用する。これによりセメント製造時に発生するエネルギーとCO2が大幅に削減され、普通ポルトランドセメントを使用した場合に比べると、約60%のCO2削減が可能となる。地盤改良ECMソイルは、セメントミルクに土を混ぜたもので、高炉セメントB種を使用した場合に比べると、約30%のCO2削減が可能となる。
同社によると、ECMコンクリートおよび地盤改良ECMソイルを使ったプロジェクトは、2017年10月時点で20件を突破。CO2削減量は計5300トンに達したという。セメント製造に伴い発生するCO2は国内全体の排出量の3%強を占める中、同プロジェクトは優れたエネルギーおよびCO2削減効果を持つとし、低炭素社会の実現に貢献するものとして今回の受賞に至った。
日本建築学会作品選集新人賞を受賞したのは、同社の大石卓人氏(東京本店設計部)。受賞作品の「女神の森セントラルガーデン」は、環境建築として設計施工した森の中のホールで、2017年度のグッドデザイン賞、JCDデザインアワードも受賞している。地熱・自然通風・伐採木などを活用しており、八ヶ岳南麓の森が持つ豊かな自然環境や気候特性を体験できる。
日本建築学会賞は、建築・建設分野で功績を挙げた個人・団体に授与される賞で、論文、作品、技術、業績の4部門がある。日本建築学会作品選集新人賞は、若手会員の作品発表を奨励するため、その年の作品選集掲載作品のうち40歳未満の筆頭設計者を表彰する。両賞とも日本建築学会が設けた賞で、建築・建設分野では国内で最も権威ある賞とされる。
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