竹中工務店がAIを育成、構造設計を70%効率化BIM/CAD

竹中工務店は構造設計業務を効率化するAIシステムの開発に着手した。ベンチャー企業のHEROZと提携し、設計ノウハウを集約したデータから、実務に生かせるAIを育成していく。

» 2017年11月20日 06時00分 公開
[BUILT]

 竹中工務店は2017年11月17日、構造設計業務を支援するAIシステムの開発に着手したと発表した。AIを活用し、構造設計におけるルーチン作業の70%削減を目指すという。また、システムの開発に向けた協業先として、同年8月31日にAI開発を手掛けるベンチャー企業HEROZ(ヒーローズ、東京都港区)の新株予約権付社債を引き受けたことも発表している。

 開発するAIシステムのベースとなるのは、竹中工務店が2001年に自社開発した構造設計システム「BRAIN(ブレイン)」だ。HEROZのAIプラットフォームと、BRAINに蓄積された竹中工務店の“ノウハウのかたまり“ともいえる数百件の設計データ群を利用し、深層学習などによりAIシステムのプロトタイプを開発する。その後、このプロトタイプを構造設計者たちが育成していくことで、2020年までに実務上で利用できる自動設計やシミュレーションの自動化手法を確立し、構造設計のルーチン作業の70%削減を目指す方針だ。

AIシステムを開発するフロー 出典:竹中工務店

 AIシステムを活用することで、構造設計者がよりクリエイティブな業務に集中できる設計環境の構築と、ワークライフバランスの向上を目指す狙い。さらに将来は、人間とAIが協力する新しい設計手法の開発にも取り組んでいく方針だという。

 竹中工務店では今回の構造設計向けシステムの開発を、AI活用の第一段階と位置付ける。今後は建物のライフサイクルにおける他のフェーズにもAI活用を広げて行く考え。その一例として、BIMデータとAIを活用による施工計画や生産管理業務の効率化、ビル管理業務の高度化といった例を挙げている。

 なお、同社とAIシステムの開発で協業するHEROZは、2009年に設立。現役プロ棋士とコンピュータソフトが対局を行う「将棋電王戦」で優勝した「Ponanza(ポナンザ)」の開発メンバーが在籍しており、AIを活用したインターネットサービスの企画開発、運営を行っている。

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