ヒューマンタッチ総研が「建設技術者の2025年未来予測」、生産性向上の取り組みで2025年の不足者5.8万人分を解消:建設技術者の2025年未来予測(2/2 ページ)
シミュレーション結果では、「現状維持シナリオ」における2025年の必要建設技術者数は2015年とほぼ同じ水準の52万2040人となり、就業者数との差に当たる6万7219人の建設技術者が不足するという数字に至った。
図4 現状維持シナリオにおける需給ギャップのシミュレーション 出典:総務省「国勢調査」「労働力調査」、厚生労働省「雇用動向調査」を基にヒューマンタッチ総研が作成
一方、生産性向上シナリオでは、調査・測量、設計、施工、検査、維持管理・更新までの全ての建設生産プロセスでICTを活用する「i-Construction」が、建設業各社で推進されることによる生産性向上の実現を必要建設技術者の“減少要因”、働き方改革に対応することでの残業削減や週休2日制の拡大を“増加要因”として、シミュレートした。
生産性向上では、建設業や建コン・不動産業などにおいて、2025年まで生産性が一定割合で向上。働き方改革は、10年をかけて、1人当たり年間総労働時間が製造業レベルにまで削減する見通し。
「生産性向上シナリオ」では、2025年の必要建設技術者数は46万3741人に減少。不足数は8920人となり、現状のまま何もしない「現状維持シナリオ」に比べて、不足者数は5万8299人にまで改善される。
図表5 生産性向上シナリオにおける必要建設技術者数の増減要因のシミュレーション 出典:ヒューマンタッチ総研
図表6 生産性向上シナリオにおける需給ギャップのシミュレーション 出典:「国勢調査」「労働力調査」「雇用動向調査」「一般職業紹介状況」「建設市場の将来予測」を基にヒューマンタッチ総研が作成
ヒューマンタッチ総研所長・高本和幸氏は、「今回の未来予測では、全産業における建設技術者を対象に、より高い精度で建設技術者の需給ギャップを試算した。分析結果として、現状のままでは2025年には建設技術者が大幅に不足することと同時に、i-Constructionに代表されるICT活用による生産性向上への取り組みを確実に行うことで、不足数が大幅に縮小されることが分かった」。
また、「今回の試算では反映させていないが、残業削減や週休2日制を拡大することで、他職種からの入職の増加、他職種への流出の減少といった効果も期待できるため、各社での働き方改革への積極的な対応策もますます重要になることが考えられる」と話す。
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