ヒューマンタッチ総研は「建設技術者の2025年未来予測」の2018年度版を発表した。予測シナリオでは、2025年に必要な建設技術者は6万人以上不足するとみられるが、i-Constructionや働き方改革の生産性向上の取り組みによって、不足者数は1万人を切るまでに改善されるという。
ヒューマンタッチが運営するヒューマンタッチ総研は2018年12月20日、建設技術者不足問題について独自試算した「建設技術者の2025 年未来予測」の2018年度版をまとめた。それによると、2025年に建設技術者は6万人を超えて不足する一方、生産性向上の対策などが進めば、不足数は1万人以下にまで改善することが判明した。
今回の試算では、2015年度国勢調査のデータを基に分析。労働力調査をベースとした未来予測2017年度版に比べ、精度が向上した他、建設業だけでなく全産業に従事する建設技術者をカウントできるようになった。
まず国勢調査の結果から建設技術者数(建築技術者と土木測量技術者の合計)の推移を見ると、2000年の89万7480人から2015年には47万5200人にまで減少(図表1)。年齢層別構成比の推移を見ると、55歳以上が2000年の15.1%から2015年には35.2%に上がり、高齢化が急速に進展している(図2)。
一方、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック後も、老朽化インフラの修繕・建て替えなどで建設需要が大きく落ち込むことはないと見込まれ、建設技術者の確保が必要な状況は続く。
このような現状を踏まえて、ヒューマンタッチ総研は、各種データをベースに、2025年の建設技術者数を予測し、【A.現状維持シナリオ】と、【B.生産性向上シナリオ】の2パターンで人材需給ギャップを試算し、その結果をまとめた。
建設技術者数の将来シミュレーションでは、「他職種からの入職」と「新卒の建設技術職入職」を増加要因に、「他職種への転職」と「定年による離職」を減少要因として、「国勢調査」「労働力調査」「雇用動向調査」から計算した。
その結果、2025年に就業している建設技術者数は、45万4821人(15年比で2万379人減少)と導き出された。
前提として、必要な建設技術者数をシミュレーションするため、2015年における必要建設技術者数は、2015年の建設技術者数に2015年末の有効求人数を加えたものであると想定して、52万2896人を設定している。
また、将来については、「現状維持シナリオ」における必要建設技術者数は、建設業の市場規模に比例して増減することを織り込んでいる。建設業の市場規模は、建設経済研究所による「建設市場の将来予測」を参考に、ほぼ横ばいでの推移を見込む。
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