大成建設は、機械学習AIを活用したシールドマシンの自動運転技術を開発した。国土交通省九州地方整備局発注の「鹿児島東西道路シールド工事」で実証した結果、熟練オペレーターに頼ることなく高精度な方向制御と安定した掘進を実現した。
大成建設は2026年7月8日、機械学習AIを活用したシールドマシンの自動運転技術を開発し、国土交通省九州地方整備局発注の「鹿児島東西道路シールド工事」で実証したと発表した。実証の結果、熟練オペレーターに頼ることなく高精度な方向制御と安定した掘進を実現した。
シールド工事は、先端のカッターを回転させて地盤を掘削し、掘削土を搬出しながら、円周に配置した複数のジャッキでマシン後方のセグメントを押してマシンを前進させる。目標線形を確保するために各ジャッキの出力配分を細かく調整し、マシンの掘進方向、高さ、傾きを制御する必要があるが、曲線や勾配区間、近接施工などの難条件下では、制御誤差が蓄積しやすい課題があった。また、地盤やマシンの状態は現場によって異なるため、経験則だけでは十分に対応できず、施工条件に応じてマシン制御を即時最適化する仕組みが求められていた。
大成建設は今回、機械学習AIがジャッキの出力配分を自動で最適化すると同時に、セグメント1リングごとにマシンの掘進方向を高精度に評価/再学習し、結果をリアルタイムに次の施工へ反映する自律型掘進制御システムを開発した。
新システムは、掘進中に取得するシールドマシンの方向や中折れ角、カッターに作用する土水圧、総推力などのデータを機械学習AIに取り込んで解析し、目標線形に沿った掘削を行うための力点位置を予測。蓄積された過去の運転モデルから最適な運転モデルを選定し、外径約11メートルのシールドマシンの場合、約30台のジャッキを統合的に制御することで、目標線形への高精度な追従を実現する。
過去20現場、延べ約3万3000メートルの施工データを教師データとしてAIに学習させ、水平/垂直方向それぞれ約400パターンの「多様化モデル」を準備。施工時に最適なモデルを自動選定し、1リング組み立てごとの評価と再学習による即時対応を可能とした。地盤条件や機械状態の変化に応じて、継続的に施工を最適化する。
機械学習AIによる自動運転での予測精度は、中小断面から大断面のシールドマシンに至る幅広い適用範囲で、AIが推奨する力点位置の予測誤差で半径の4%以下、到達予測座標の誤差で3ミリ以下を目標性能値に設定した。
鹿児島市内で施工中のシールドトンネル工事(泥土圧シールド、外径11.34メートル、延長約2.3キロ)で行った実証では、右700mRの曲線区間と1.47%の上り勾配の条件下でも、水平/垂直ともに目標線形への高精度な追従を確認。自動運転での予測精度はいずれも目標値内の誤差で、安定した自動掘進が可能だと実証した。
新技術により、施工品質の平準化に加え、掘進停止や手戻りの抑制による安全性/生産性の向上が期待される。加えて、制御判断の可視化により、若手技術者の育成や技能継承への活用も見込む。
今後は、曲線施工や重要構造物近接施工など難条件のシールド工事への適用を進める。将来は切羽圧や排土量、裏込め注入などの最適化を図ると共に、他の設備機器と統合した総合的な自動運転システムへと拡張する。
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